ライフ

iPS細胞使った不老不死研究も登場 「120歳まで健康体」の現実味

不老不死の研究はどこまで進んでいる?(イメージ)

不老不死の研究はどこまで進んでいる?(イメージ)

 京都大学の山中伸弥教授が開発したiPS細胞を使った不老不死の研究が始まっている。医学博士の中原英臣氏が解説する。

「iPS細胞で肌や髪、目の網膜の細胞などを再生させる研究はかなり進んでいて、理化学研究所などのチームは、目の難病患者の皮膚から作ったiPS細胞を網膜の組織に変化させ、移植する手術を実施しています」

 化粧品会社のコーセーも2014年10月に、67歳の人の肌細胞をiPS細胞で再生し、36歳相当の肌に若返らせることに成功したと発表した。

「2050年代までには、心臓や肺などの主要臓器をiPS細胞で丸ごと再生し、交換できるようになるとの予測もある。老化研究の第一人者であるハーバード大医学大学院のシンクレア教授は、自著のなかで“老化は病気であり、治療できる病だ”と定義し、“老いない身体”が手に入る未来がすぐそこに迫っていると述べています」(前出・中原氏)

 では、老化を防ぐ研究が進んだ結果、人はどれだけ生きられるようになるのか。東大医科学研究所(がん防御シグナル分野)の中西真教授が解説する。

「2016年には英科学誌『ネイチャー』に“ヒトの寿命は120年”とする報告が掲載されましたが、最大寿命を延ばすことは非常に難しい。たとえばゾウは自らの体内で、老化細胞になる前に傷ついた細胞を死滅させてしまうと言われます。つまり、私たちが開発している老化改善の薬と同様の機能を体内に備えていると考えられるのですが、それでも寿命は70歳程度です。

 今後、老化改善の薬がヒトで実用化されても、死は免れないと考えます。ただし、薬を使えば最大寿命の120歳まで健康体でいられる可能性は十分にある。現在、健康寿命と平均寿命には10年ほどの開きがありますが、この期間を限りなくゼロに近づけることで、晩年の寝たきり介護や辛い病気の治療から解放されることが期待できるのです」

 人に迷惑をかけない死に方の常識が、近い将来、塗り替えられるのだろうか。

※週刊ポスト2021年5月7・14日号

関連記事

トピックス

大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
石川県の被災地で「沈金」をご体験された佳子さま(2025年4月、石川県・輪島市。撮影/JMPA)
《インナーの胸元にはフリルで”甘さ”も》佳子さま、色味を抑えたシックなパンツスーツで石川県の被災地で「沈金」をご体験 
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン
隣の新入生とお話しされる場面も(時事通信フォト)
《悠仁さま入学の直前》筑波大学長が日本とブラジルの友好増進を図る宮中晩餐会に招待されていた 「秋篠宮夫妻との会話はあったのか?」の問いに大学側が否定した事情
週刊ポスト
新調した桜色のスーツをお召しになる雅子さま(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
雅子さま、万博開会式に桜色のスーツでご出席 硫黄島日帰り訪問直後の超過密日程でもにこやかな表情、お召し物はこの日に合わせて新調 
女性セブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
週刊ポスト