3回目の緊急事態宣言期間が延長され、範囲も広がることになりそうだ。社会の閉塞感と国民のストレスは高まる一方だが、そうした中、昨年から通勤を公共交通機関から自転車に切り替える人が増えている。国交省のアンケートでは鉄道通勤をやめた人が11.7%もいたという。自転車通勤のメリット、デメリットについて、ジャーナリストの山田稔氏がレポートする。
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東京・杉並区に住む30代の男性会社員Aさんは、昨年6月から自転車通勤を始めた。勤務先は新宿区内の企業。会社の近くに駐輪場を借り、雨の日以外は自宅から自転車で出勤する日々だ。
「昨年4月の緊急事態宣言のときはテレワークを実施する企業も多く、通勤電車の利用客がずいぶん減っていましたが、緊急事態宣言が解除されたら、いつの間にかかつての満員電車状態になってしまい、これはヤバイなと思い自転車通勤に切り替えました。とくに気になる坂もないし、満員電車での感染リスクに怯えることもなく快適ですよ」
通勤時間はゆっくり走って30分弱。電車通勤の時は自宅から中央線の駅まで10分ほど歩き、新宿まで電車で10分、そして新宿駅から会社まで10分だったから、通勤にかかる時間はほぼ一緒だ。
「会社には自転車通勤のことはあえて言っていません。だから、定期代と駐輪場代の差額は小遣いですね(笑)」(Aさん)
「満員電車やバス通勤から解放された」
Aさんのようにコロナ禍で、通勤を公共交通機関から自転車などに切り替えた人は確実に増えている。
国土交通省が東京、大阪両圏の8都府県に住む1500人を対象に、2019年11月と2020年11月の鉄道通勤について聞いたアンケート(2020年12月実施)によると、東京都在住者の11.7%は鉄道通勤をやめたと回答。これらの人々は在宅勤務のほか、マイカーや自転車通勤に切り替えた人が多いとみられるとしている。