森友学園への国有地売却をめぐり、財務省の決裁文書改ざんに加担させられたことを苦に命を絶った近畿財務局職員、赤木俊夫さん(享年54)。5月6日、ついに国は赤木さんが改ざんの詳細な経緯を記したとされる文書、通称「赤木ファイル」の存在を認めた。赤木さんの妻・赤木雅子さんはこう語る。
「本当に皆様のおかげです。これを中途半端に終わらせてはいけないと思っています。私が求めているのは、夫のために真相を解明したい。いまはただそれだけです」
雅子さんは「夫の死の真相を明らかにしたい」との想いから2020年3月、国と佐川宣寿元国税庁長官に損害賠償を求めて提訴。訴訟の争点のひとつとしてあがっていたのは赤木ファイルの内容だったが、国側はこれまでファイルの存否さえ明らかにせず、曖昧な態度を取り続けてきた。
それが一転、その存在を初めて認めたのだ。これまで森友学園問題を追い続けてきたジャーナリストの相澤冬樹氏がいう。
「これまでは『探索作業中です』と誠意のかけらもない回答に終始しており、赤木雅子さんや代理人の生越照幸弁護士でさえ『今回もまともな回答は返ってこないだろう』と考えていたと思います。それがファイルの存在を認めただけでなく、次の弁論で(一部を黒塗りするとはいえ)全体を公開すると約束した。生越弁護士は、『これは弁護士だけの力ではない。報道の力で国民の共感が得られた』と語っていました。報道の積み重ねが世の人々の関心を招き、赤木ファイルという言葉が知られるようになった。まさに民意の勝利といえるのではないでしょうか」
これまで雅子さんは、「財務省には誠意ある対応をしてほしい」と再三求めてきた。いまも、苦悩の日々が続いているという。赤木さんが命を絶った日(2018年3月7日)の朝まで約1年にわたって、雅子さんはメモ帳に夫の異変をこう書き記していた。