トップグラドルとしての活躍から一転、自身の不祥事と贖罪を経て、ストリッパーとして第二の人生を歩み始めて12年。小向美奈子は劇場の花として今もステージで咲き誇っている。
「まさかこんなに続くなんて、自分でも思ってなかった。初めは周りからも“どうせ続かないでしょ”って言われてたから……」
そう語るのは、現在ストリッパーとして活動する小向美奈子(35)だ。2000年にグラドルデビュー後、2009年に覚せい剤取締法違反で逮捕されると、同年に浅草ロック座の舞台に立った。ダンサー歴は12周年を迎え、4月1~10日まで歌舞伎町の劇場「新宿ニューアート」に出演した。
「劇場に入れば、1日3~5公演を10日間続けるハードさで、人間関係のノリも体育会系。そんな雰囲気が、肌に合ったんだよね。
なにより踊りは楽しい。普段のサバサバした美奈子とは真逆の、乙女っぽさや妖艶さも表現できる。自分の中の色んなキャラクターを曝け出せるのが快感(笑い)。お客さんにも、手の届く近さで見てもらえるから、生の劇場でしか味わえない感覚があると思う」
小向が「劇場」にこだわるのは理由がある。2011年、執行猶予中に覚せい剤で再逮捕(不起訴)された際、救いの手を差し伸べてくれたのも劇場だったからだ。
「もう終わりだと、今後どう生きようと思ってた矢先、浅草ロック座が“また出てみない?”と声をかけてくれた。劇場こそが美奈子のホームだと感じて、“体が動く限り続けよう”と決心したんです」
コロナ禍で劇場が苦境に陥ると、踊りの魅力を広めたいと、自らプロデュースしたストリップ動画の配信を始めた。5月11日からは、九州唯一の名門「A級小倉劇場」にも出演する。
「呼んでもらえる限り、これからも劇場で生きていきます」と、小向は笑った。
【プロフィール】
小向美奈子(こむかい・みなこ)/1985年5月27日、埼玉県生まれ。身長156cm、B85・W58・H83。ストリッパーとして活動しながら、YouTube「小向375チャンネル」で私生活や趣味を配信中。
撮影/井上たろう
※週刊ポスト2021年5月7・14日号