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好角家の神田川俊郎さんが横綱・白鵬に遺していた熱き声援

大阪場所ではいつも土俵際にその姿があった(毎日新聞/アフロ)

大阪場所ではいつも土俵際にその姿があった(毎日新聞/アフロ)

 4月25日、料理人の神田川俊郎さんが大阪市内の病院で亡くなった。新型コロナウイルスに感染し、治療を受けていたという。81歳だった。神田川さんといえば、毎年3月に開催される大相撲大阪場所には毎日観戦に訪れ、向正面に座る姿がNHK中継に映し出されるのが恒例だった。

 好角家の神田川さんは、『週刊ポスト』の取材に何度も答え、大相撲に対する考えや思いを語っていたが、なかでも「世間の白鵬に対する評価が低すぎる」という持論が注目された。昨年12月の取材では、白鵬と鶴竜(当時は現役)の2横綱が“休みすぎ”と批判されていたことに関して「日本人力士の責任だ」とかばっていた。「白鵬に休場明けで簡単に優勝されているのが情けない。代わりになる存在がいないのに、相撲協会も“引退しろ”などと言えた義理じゃありませんわ。いま一番問題なのはこの2横綱に勝てる日本人力士が出てこないことです」と断じたのである。

 2010年の朝青龍の暴行事件、翌年の八百長問題発覚などの不祥事が続き、相撲人気が低迷した時代に土俵を支えた白鵬の功績を神田川さんは高く評価していた。

「朝青龍が事件を起こして廃業したとき、一人横綱として15場所も土俵を守り、そのうち10場所も優勝した。この貢献度も忘れるべきじゃないね。横綱のカチ上げや張り差しは褒められないが、体力低下をカバーする策ですからね。全否定は可哀想ですわ。失言や(優勝インタビュー時の)三本締めは盛り上げようとしてやったことで、角界のことを一番心配している男ですからね。相撲協会もやらないジュニア大会を主催して、将来の横綱を育てようとしている。凄いことだと思いますよ。義理堅いし、相撲のことを四六時中考えているような男ですわ。白鵬を超える横綱が出るまで、引退を迫るべきじゃないと思う」

横綱としての実績は文句のつけようがない(時事)

横綱としての実績は文句のつけようがない(時事)

 また、現在44回を数える優勝回数は「50回に届く」とも語っていた。2018年の取材では、「体の艶や張りを見ても東京五輪で土俵入りをやったあとも綱を張っている可能性は高いでしょうね。日本人力士はほんまドングリの背比べですわな。幕内を見渡しても、綱を締める可能性がある日本人力士がいない。候補の名前が浮かびませんもの。横綱の条件は心技体といわれますが、貴景勝、御嶽海、阿武咲にしても、根性だけは横綱級ですが、技と体ということでは横綱とは程遠い。特に技の面では横綱相撲とはいいがたい。駆け上がって来た頃は、幕内上位で土俵を盛り上げてくれると期待はしたが、やはり大関止まりちゃいますか」と語っていた。

 実際、東京五輪が開催されていたはずの2020年夏を過ぎても、新たな日本人横綱は誕生していない。“大関止まり”ばかりの日本人力士には、料理人らしいたとえを交えて、こんなふうに苦言も呈した。

「昔のお相撲さんの稽古に比べて、今のお相撲さんは甘い。魚でいうたら養殖ですわ。天然魚は荒波を乗り越えて、岩に当たりながら自分で餌を探さなあかんが、今のお相撲さんは決まった時間にたっぷりと餌がもらえる養殖魚ですわ。もうちょっと厳しくやったほうがいい。厳しくやるとパワハラや暴力問題になるが、外国出身力士は子供の頃から厳しくされ、異国で頑張るしかないと思ってやっている。そりゃ勝てませんわ」

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