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元DeNAドラ1・松本啓二朗が目指す指導者への道、「理想はオヤジ」

「指導者として野球に恩返ししたい」と語る松本啓二朗

「指導者として野球に恩返ししたい」と語る松本啓二朗

 千葉経大付属、早大とアマチュア球界でエリート街道を歩み、横浜(現・DeNA)にドラフト1位で入団した松本啓二朗(34)を覚えているだろうか。2017年オフに退団すると、社会人・新日鐵住金君津かずさマジック(現・日本製鉄かずさマジック)で3年間プレーし、昨季限りで現役引退した。

 社会人野球の選手は引退後、会社に籍を残してサラリーマン生活を送るケースが多い。松本も社会人野球でプレーしていた3年間は不動産業の総務として、午前9時から正午まで毎日働き、午後から夜まで練習という日々を送っていた。

「時期によってはフルタイムで仕事をする日々が続きました。でも午後に野球の練習ができるのも、会社の理解があってこそですからね。デスクワークは初めての経験でしたが、毎日が勉強でした。取引先のお客さんの名前や情報を頭に叩き込んでいる社員の姿を見ると、自分も見習わないといけないと感じました」

 選手が野球を現役引退後に苦労するのが、華やかな球界と一般社会との格差だ。金銭感覚が戻らず、貯金を使い果たす人も少なくない。しかし、松本は朝から毎日出社する規則正しい日々を苦痛に感じることはなかった。プロ野球でプレーしていた時から夜の街に繰り出すことはなく、アルコールも飲まなかった。散財することはなく、サラリーマンに適応できる堅実な性格だった。

 不動産業の仕事は上司、先輩に恵まれて不満はなかった。だが、社会人野球を辞めた後に、高校の時から温めていた「もう一つの夢」を追いかける決断をした。今年4月から教職免許を取るために通信制の大学で学ぶ合間を縫い、高校や大学の指導者を目指して就職活動を行なっている。

「社会人野球で兼任コーチもやらせてもらって、若手が成長した姿を見るのが楽しかったんです。投げられない子に『こういうやり方があるよ』と伝えて。投げられるようになるといい顔をするんですよ。その時にプレーヤーとは違う充実感を感じて。コロナ禍なので難しいですが、高校や大学に売り込んでいます。自分から動かないと、目標は叶えられませんから。高校では甲子園、大学では大学選手権と全国を目指せる舞台がある。自分が現役時代に経験したので子供たちにも経験させてあげたい。理想の指導者像はオヤジですね」

 松本の父・吉啓さんは桜美林高で1976年夏にエースとして甲子園出場。5試合連続完投勝利で全国制覇に大きく貢献する、明大、明治生命を経て指導者の道へ。1997年に埼玉栄の野球部監督に就任すると、1998年夏、2000年春に甲子園出場した。

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