今期も魅力的な作品が揃った春ドラマ。今クールの特徴をあげるなら、「質のよいオリジナル作品が多い」ということだろう。
「『桜の塔』(テレビ朝日系・木曜21時)の脚本は、『3年A組‐今から皆さんは、人質です‐』(2019年・日本テレビ系)などを手がけた武藤将吾氏が、『リコカツ』(TBS系・金曜22時)の企画は『SPEC』(2010年・TBS系)のプロデューサーだった植田博樹氏が手がけるなど“実力派”による新たな切り口の作品が揃いました」(テレビ局関係者)
とはいえ、ふたを開けてみると、世帯視聴率が1ケタ台にとどまっている作品が少なくない。「今クールは、アタリのドラマが少ないのか」と思わずにはいられないが、どうやらそれは時期尚早のようだ。
「もう、世帯視聴率でドラマの良し悪しを決めていてはいけませんよ」と多くのテレビ関係者が語気を強める。
「日本の人口が高齢化するなか、世帯視聴率も偏る傾向にあります。本当に幅広く支持されているドラマは、いまや個人視聴率(2020年4月から計測が開始された家族一人ひとりがどのくらいテレビを視聴したかを示す割合)によって評価される仕組みに変わりつつある。テレビ局は個人視聴率やタイムシフト再生(録画再生)をより重視するようになっています」(前出・テレビ局関係者)
4月12~18日に放送されたドラマを対象に、タイムシフト視聴率で1位になっているのは『イチケイのカラス』だ。『週刊モーニング』(講談社)で連載されていた同名漫画をドラマ化したものだが、主人公の性別を変えるなど、大きなアレンジが加えられている。
「主人公は竹野内豊(50才)演じる型破りでクセ者の裁判官で、東大法学部出身のエリート裁判官役の黒木華(31才)や上司の小日向文世(67才)が脇を固めている。“月9”の全盛期をかなり意識しているようで、木村拓哉(48才)の主演で高視聴率をマークした『HERO』を思い出す人も多いのでは」(ドラマ制作スタッフ)
2話目に前田敦子(29才)、4話目に広瀬アリス(26才)、5月10日放送の第6話では、バカリズム(45才)が“令和の大泥棒”役に、と大物ゲストが続々登場するのも見どころだ。
「ゲストの皆さんが素晴らしい演技をするので、編集段階で放送シーンを増やしたりするなど臨機応変に対応しています」(前出・ドラマ制作スタッフ)