投手として先発ローテーションを担いながら、打っては10本塁打(5月7日現在)。シーズン54本ペースでエンゼルス・大谷翔平(26)は日本人初の本塁打王を狙える位置につけている。大谷の活躍は投打の二刀流にとどまらない。
5月2日のマリナーズ戦では第1打席で出塁し、二盗、三盗をマーク。1試合2盗塁で両リーグ2位タイの6盗塁となった(5月6日時点では6位タイ)。
通算1065盗塁を誇る世界の盗塁王・福本豊氏から見ても大谷の走塁は超一流だという。
「大谷の走力は打力以上に素晴らしいと思う。軸と重心がブレずに長い脚が大きく前に出る美しいフォームで、しかもトップスピードに到達するのが早い。右足を伸ばすスライディングは、フォームもタイミングも申し分ない。僕と違って足が長いことも有利や(笑い)。
盗塁で一番大事なのはスタートだが、こちらもセンスがいい。投手のリズムを完全に読み切ってスタートしている。投手をやっているから身についたのかもしれない。こればかりは教えてもできない天性のものですよ」(福本氏)
大絶賛の福本氏だが、三盗が多いことには否定的だ。5月4日のレイズ戦でも、大谷は三盗に失敗している。
「僕も現役時代は三盗を失敗して西本(幸雄)監督によう叱られた。1065回の盗塁のうち、三盗は123個で、やれば成功したやろうけど、わざわざ狙わへんかった。チームプレーが優先されるからや。大谷の足なら二塁からでもワンヒットで生還できるし、ケガのリスクも考えて三盗は避けたほうがいい。今後の大谷に必要なのは、ボールには手を出さず四死球でいいから出塁率を上げること。ランナーに出れば、盗塁王を取るチャンスも十分あります」(同前)
今季は三刀流で楽しませてくれそうだ。
※週刊ポスト2021年5月21日号