この記事を読んでいるあなたの脳の中では、いま、どんなことが起きているのか──。脳の情報処理機能を解説する。人間の脳は約1400gの細胞の塊だ。脳を作っている細胞は大きく分けて、ニューロン(神経細胞)と、グリア細胞(神経膠細胞)の2つである。
脳は大脳、小脳、脳幹から構成されており、認知機能を担うのが大脳。皺で覆われた表面は大脳皮質と呼ばれて、多くの神経細胞が集まっている部分だ。
大脳皮質の前方にある部位である前頭葉は、脳のほかの部分から届いた情報を統合し、さまざまな処理を行なうと考えられている。
大脳皮質は機能によって優位に活動する場所がある。例えば、言語を発する時は運動性言語野(ブローカ野)、言葉を理解するのに使われるのは感覚性言語野(ウェルニッケ野)、体を動かすのには運動野、視覚情報を処理するには視覚野が機能することなどがわかっている。
ニューロンとシナプス
ニューロンは互いに情報を伝え合うネットワークで結ばれている。その数は1000億個以上と言われており、それぞれのニューロンには樹状突起と呼ばれる突起が複数突き出している。ニューロンは、数個から数万個の他のニューロンと樹状突起でつながっている。
ニューロンは電気を発生させて情報を伝えるが、電気信号は、そのまま別のニューロンに伝えることができない。ニューロンとニューロンのつなぎ目にあるシナプスが、電気信号を神経伝達物質に変換させ、情報を受け取ることができるようになる。
受け手側のニューロンでは、神経伝達物質が再び電気信号に戻る。それをまたシナプスが神経伝達物質に変換して、次のニューロンへ伝えていく。
※週刊ポスト2021年5月21日号