「政権の命運が決まる」といわれた北海道、長野、広島での衆参トリプル補選(4月25日)で全敗した自民党。政局が混迷を極めるなか、永田町では「菅政権は長くない」という空気が広がっている。
2日後の27日、議員会館の自民党議員たちの事務所ポストに差出人不明の「怪文書」が投函された。
〈菅義偉自民党暫定総裁について〉と題された文書には、こう記載されていた。
〈菅総裁は、安倍前総裁が任期中に途中退任したことに伴う残任期間限定総裁として選出〉
〈よって、菅総裁は暫定総裁です。菅暫定総裁は9月の総裁任期満了までに党則80条第1項の規定による総裁選挙を実施して、正々堂々と再選を果たして党則80条第1項及び第4項に規定される正式な総裁となった上で、国民の信を問うことを期待します〉
本誌・週刊ポスト既報(4月2日号)のように、3月初旬にも議員会館に怪文書が出回ったことがあった。この文書では菅首相を批判する文言はなく、総裁任期などについて淡々と表にまとめられただけだった。
だが、今回は菅首相を「暫定総裁」と断じており、前回の怪文書よりも「菅首相が解散総選挙を打つ前に総裁選を実施せよ」という差出人の意図が強く伝わる内容だ。自民党関係者はこの文書を、党内の“菅おろし”の機運を高めるためのものと受け止めているという。
政治評論家の有馬晴海氏が語る。
「菅首相は従来、9月の総裁選前の解散総選挙を匂わせてきましたが、トリプル選の惨敗で、党内には『菅さんが総裁のままでは総選挙は戦えない』という危機感が強まった。文書のなかで『暫定総裁』という言葉を繰り返し使うことで、明確に解散を封じ込めようとする意図が感じられます」