「赤木ファイル」という言葉は、一躍“トレンド”に躍り出た。全国紙はもちろん北海道から沖縄まで全国の地方紙の社説で取り上げられ、揃って「全面開示すべき」と訴えた。それは国側が無条件ですべてを開示するわけではないからだ。
森友問題で公文書改ざんを強要され命を絶った財務省近畿財務局の赤木俊夫さん(享年54)の妻・赤木雅子さんは、「これじゃマスキングをさせられた夫の二の舞になる職員の方が出てくる」と嘆く。
たとえ開示されても、名前が隠されては「誰が、何を、どう指示したのか」の実態が見えなくなる。たとえば前首相の妻、安倍昭恵さんの名前の問題だ。改ざんにあたって公文書にあった昭恵さんの名はすべて消されたことが分かっている。誰かがそれを指示したはずで、そうした情報が明らかにならなければ、「夫の死の真相を知りたい」という雅子さんの願いが叶うことはない。
以下の文章は、開示を待つ雅子さん本人の言葉だ。
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マスキング……、その言葉に思い当たることがありました。夫の昔の手帳を見返すと、2017年3月4日に「PDF、マスキング作業」という書き込みがあったのです。夫も黒塗り作業をやらされていたんですね。
この少し前、森友学園への国有地の値引き売却が明らかになりました。学園の小学校の名誉校長が安倍昭恵さんだったから、国会で連日追及されました。それで夫は、この年の2月26日、日曜日だったのに職場の上司に呼び出されて、昭恵さんの名前を公文書から消すように言われました。その日、夫のメモ帳には「統括から連絡を受け出勤」「本省からの指示」という書き込みがあります。これが公文書の改ざんだったんです。その翌週に、公文書の黒塗りもさせられていたなんて。「こんなこと、したくなかっただろうなあ」──そう思うと私も辛かった。
財務省の人は簡単に「黒塗りする」と言いますけど、やらされるのはいつだって現場の人です。夫もそうでした。現場の職員が一番辛いと思います。だから黒塗りなんかせずに、そのまま出してくれたらいいんです。
そう思ってイラストを描きました。