阪神のスーパールーキー・佐藤輝明や広島のクローザーを任されている栗林良吏など、今年のプロ野球はルーキー豊作と評されているが、どっこいベテランの活躍も目立っている。『週刊ポスト』(5月17日発売号)では「おっさんプロ野球選手」の逆襲を特集しているが、そこに紹介できなかった「おっさん」たちもまだまだ多い。例えば阪神と首位争いする巨人では、こどもの日(5月5日)の阪神戦で、中島宏之(38歳)、炭谷銀二朗(33歳)、亀井善行(38歳)の「109歳トリオ」が大活躍した。スタメン起用された中島が先制犠打、スタメンマスクの炭谷がタイムリーを放ち、代打で登場した亀井がダメ押しの2塁打を打って、トリオで全打点を叩き出した。
佐藤が4番に座る阪神で気を吐いているのが、チーム最年長の糸井嘉男(39歳)だ。佐藤とのレギュラー争いに敗れて開幕から代打要員に甘んじていたが、主砲・大山悠輔が背中の張りで戦線離脱すると、5月7日に今シーズン初めてスタメン起用され、いきなりバックスクリーン左に今季1号ホームランを放った。翌8日には新外国人ロハスが起用されて再び控えに回るも、9日には2度目のスタメンで2号ホームランを打った。
糸井は生涯打率3割という大記録との戦いが続いている(4000打数以上の選手が対象)。特に、糸井のように5000打数以上でこれを達成したのは過去17人しかいない。そのモチベーションがあるから若手にポジションを奪われても腐ることなく、チームで一番バットを振っているともいわれる努力を続けている。阪神の快進撃は、一見すると若手の台頭や助っ人外国人の活躍が大きいように見えるが、実は糸井のようなベテランがベンチに控えている安心感と威圧感が効いている面もある。
しかし、週刊ポストでも「おっさん」たちにエールを送った「元祖・中年の星」門田博光氏は、気を吐く糸井にも愛の「喝」を入れる。
「僕の場合は野村克也さんの通算ホームラン(657本)に追いつこうという一心でやっていた(最終的に567本で引退)。数字を設定して頑張らないと、若い者がどんどん下から出てきて使われなくなる。とにかく若い者に負けない数字を残すことです。もっと言えば、負けないだけでなく大差をつけておかないと危ない。