今春始まったテレビ番組のここ1か月の“成績”、つまり視聴率が出揃ってきた。顕著なのは、新しく始まったバラエティ番組が軒並み低迷していることだ。“ほぼ全滅”とも言える状況に、テレビ関係者は頭を抱えているという。その理由とはいったい? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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春の新番組がスタートして、早くも1か月あまりが過ぎました。現在、テレビ業界をザワつかせているのは、夜の時間帯に放送されている「新番組の大半が低迷している」こと。各局はコロナ禍による収入減に悩まされているだけに、さらなるダメージを受けているのです。
まず下記に新番組の視聴率(ビデオリサーチ、関東地区、個人全体・世帯)を挙げていきましょう。
『オトラクション』(TBS系)個人2.4%、2.3%、2.3%、2.1% 世帯3.7%、3.7%、3.8%、3.6%。
『火曜は全力!華大さんと千鳥くん』(関西テレビ・フジテレビ系)個人2.9%、2.2%、2.3%、2.2%、2.0% 世帯5.3%、4.0%、4.0%、4.0%、3.8%。
『オオカミ少年』(TBS系)個人3.5%、2.2%、2.5%、1.9% 世帯6.0%、3.7%、4.1%、3.4%。
『新しいカギ』(フジテレビ系)個人3.1% 世帯4.7%。
『人志松本の酒のツマミになる話』(フジテレビ系)個人3.8%、3.9%、3.2%、4.3%、4.2% 世帯6.6%、7.0%、6.0%、7.7%、7.3%。
『週刊さんまとマツコ』(TBS系)個人2.3%、2.2% 世帯4.4%、4.1%。
好感度トップのサンドウィッチマン、若手芸人筆頭の霜降り明星、大物のダウンタウン、明石家さんまさん、マツコ・デラックスさんらの番組であるにもかかわらず、個人、世帯ともに「合格ライン」と言われる数値の半分以下に留まるケースが続出しています。
唯一、好結果が出ているのは『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』(中京テレビ・日本テレビ系)のみであり、個人7.0%、7.4%、7.4%、7.0% 世帯11.8%、12.3%、12.1%、12.0%を記録。前番組の『火曜サプライズ』と同じグルメ番組だけに、視聴者をスムーズに移行させ、さらに裏番組の低迷によって新たな視聴者層をつかんでいるようです。
どの新番組も見てもらうために、長時間の特番仕様や、ドラマ番宣を絡めた豪華ゲストの出演などの策を施していただけに、関係者のショックは計り知れません。なぜ今春の新番組はここまで受け入れられていないのでしょうか。