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「ノーマスク」を権利と主張する人々が公園の管理人を悩ませている

渋谷駅前で「ノーマスク」を訴える人たち。2020年10月(AFP=時事)

渋谷駅前で「ノーマスク」を訴える人たち。2020年10月(AFP=時事)

 いまも都市部のターミナル駅前などで活動をつづける「ノーマスク」を訴える人々がいる。ゴールデンウィーク前には、彼らも含むと思われる人たちがネット上でマスクをしないでピクニックへ行こうというイベントを呼びかけていた。この呼びかけによって、各地の公園はどのような対応を迫られたのか、ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
「ノーマスクは我々の権利、生きるための権利ですから」

 ゴールデンウィーク直前、SNS上で拡散された「ノーマスクピクニック」を開催しようとしている人たちがいる、との情報。大手マスコミやネットメディアなどが一斉に報じると、ネットユーザーらからは「非常識すぎる」「感染者が増えているのに」と非難が殺到。結局「全国一斉」という形での開催は取りやめられたが、彼らは批判を受け止めたわけではなく、形を変えて実践されただけだと当事者の一人は語る。

 たとえば、ツイッター上で「ノーマスクピクニック」への参加を呼びかけていた関東地方在住の女性・花島由佳さん(仮名・40代)がコトの顛末を、独自の視点から振り返る。

「マスクをしていると、通常時の呼吸で得られる酸素が得られず、特に小さな子供にとっては危険なんです。普段から、マスクを外すよう呼びかけを行っており、ピクニックは私たちの通常の生活スタイルなんです。それなのに、ネット上でいろいろなことを言われて、私たちの自由が制限されている。全国一斉のノーマスクピクニックは開催されませんでしたが、各々自由に、近隣の公園などに行って、お弁当などを食べて過ごしました。もちろん、みんなノーマスク。周りにたくさん他の方もいましたが、別に怒られるようなことはありませんでした」(花島さん)

 筆者も実は、件の「ピクニック」の噂を聞きつけ、開催が予定されている都内の公園事務所、地方自治体への取材を始めていたが、担当者は皆騒動のことは知っていて、対応に四苦八苦している様子だった。ノーマスクピクニックの開催予定場所になっていた関東地方にある公園の管理事務所に勤める男性が、次のように本音を吐露してくれていた。

「ピクニックの話は寝耳に水、一般の方が電話で教えてくれて知ったんです。これから(大型連休)の時期に、ノーマスクで来園されるなんてとてもとても……。市民の方からも『開催させるな』とお叱りのお電話も何本もいただいているんですが、我々に拒否する権利なんかありませんし、どうしていいものか」(関東地方の公園管理事務所職員)

 ところで冒頭の花島さん、筆者の問いには最後まではっきりと答えなかったが、首都圏を中心に全国各地で行われている「ノーマスクデモ」なる政治活動にも参加しているようで、SNSには、参加時の様子がわかる写真がアップされていた。東京都知事選や千葉県知事選挙にも立候補した経歴を持つ政治団体代表の男性や、男性を支持する人々がデモの運営母体と見られる。彼らは渋谷駅前など人でごった返す天下の往来で騒がしくデモを行うものだから、苦情が相次ぐなどトラブルにも発展している。

「どういう方々がピクニックをしようとしているのか……ネットを見ているからわかりますよ。家族連れなど大挙して押し寄せるであろうゴールデンウィークに、うちの公園であんなデモみたいなことやられたら参ります。上(自治体の公園課など)とも相談をしています」(関東地方の公園管理事務所職員)

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