5月17日、東京と大阪の「大規模接種センター」2か所での新型コロナウイルスワクチンの予約受付が始まった。65才以上が対象だ。予約は電話ではなく、インターネットか「LINE」からの申し込みに限られ、「入力を終えたときには枠がすべて埋まっていた」という声が続出。なかには「インターネットを持ってないから」と、直接会場を訪れた高齢者もいた。
各自治体によるワクチン予約も混乱をきわめている。予約方法は自治体ごとに異なり、ほとんどが電話かネットでの予約で、一部、かかりつけの病院や役所窓口で受け付けているところもある。住んでいる地域で申し込み方法が違うのが、何ともわかりにくい。
兵庫県在住の女性会社員Aさん(55才)が疲れ果てた表情で言う。
「ツイッターに、“電話はつながらないからネット予約の方がいい”と書かれていたので、80代の両親の代わりに私がネット予約することにしました。予約開始日は会社を休み、受付開始30分前の8時半にはパソコンを立ち上げ、回線に異常がないことを確認してスタンバイ。けど、9時になると同時にアクセスしたのにつながらない。その後も全然アクセスできず、10時前にようやくつながったと思ったら『ウェブ予約の枠は定員に達しました』。愕然としましたよ」
そこで、Aさんは電話での予約に切り替えた。しかし、その先にも地獄が待っていた。
「“会社を休んだ今日のうちになんとしても”と思い、電話を何度もかけました。お昼はカップラーメンで済ませ、トイレにもスマホを持ち込んで電話。1日に300回近くかけましたが、結局、つながりませんでした。受付時間が終了したときは本当にグッタリでした」
福島県在住の主婦Bさん(46才)は、義父母のワクチン接種予約のために、夫と2人の子供、義兄夫婦と2人の子供の「8人体制」で臨んだ。
「それぞれがスマホやパソコンでアクセスしましたが、1時間たってもアクセスできず。息子の“おれたちがアクセスを集中させて、回線をパンクさせているんじゃない?”のひと言で、1人ずつ通信を試みるようにしましたが、全然ダメ。“きっと明日の方が空いているよ”という結論に達し、その日は諦めました」
結局、Bさんの義父母はまだ予約できていないという。
予約を受け付けている病院では、パニック状態に陥ったところがある。長野県在住の男性Cさん(75才)が当日を振り返る。
「かかりつけの病院が『個別接種実施医療機関』に入っていました。事前に問い合わせると“電話ではなく直接来院での予約を受け付ける”とのことだったので、受付初日の朝7時に病院に到着しました。すでに30人以上が列を作っていて、後から後から並ぶ人が増えてくる。最初はある程度距離を保っていたんですが、次第に距離が縮まって“密状態”になりました」
なかには具合が悪そうな人がいたり、「顎マスク」で話す人がいるなど、待ち時間に新型コロナに感染するのではとすごく不安だったという。