今年の私立大一般選抜で、志願者数トップだったのは8年連続で近畿大だった。別掲の表は21世紀になった2001年から5年刻みの志願者数トップ10の推移だ。近畿大の前は明治大が4年連続、その前は早稲田大が14年連続トップだった。関西の大学がトップに立つのは初めてのことだ。
特に今年は私立大の志願者は12%も減少しており、近畿大も志願者は3年連続で、昨年より9371人、6.4%の減少だ。また、志願者数が10万人を超えたのは、昨年の8校から今年は2校に激減している。2016年の5校よりも少ない。
バンカライメージをぶっ壊す改革力
なぜ、近畿大はこれほど志願者が伸びてきたのか──。2001年には5万3734人だったのが、ピークの2018年には15万6225人、およそ3倍にまで増えた。増えたもっとも大きい要因は改革力の高さだろう。
大学通信は全国の約2000進学校の進路指導教諭に、毎年アンケートを行っている。昨年は910校から回答があり、その中で「改革力が高い大学」はどこか聞いたところ、近畿大がトップ評価で、しかも5年連続だった。
改革の目玉になる学部新設を見ると、2010年に総合社会学部、2011年に日本初の建築学部、2016年に国際学部を設置している。2022年には家庭用ゲーム機「プレイステーション」の開発者でもあった久多良木健氏を学部長に、情報学部の新設を構想している。
大学はどうしても古く保守的なイメージがあり、そのため改革への評価は高い。さらに、メーンの東大阪キャンパスを「近大をぶっ壊す」として、新しいコンセプトの新校舎を次々と建設した。
これはいずれも女子学生の増加につながる施策だ。総合社会、理系の中でも建築、留学を必須とする国際の3学部はいずれも女子の志望者が多い学部だ。そのうえ、校舎の新築は女子受験生増加には欠かせない。バンカライメージの近畿大に女子受験生が増えたことも志願者増の下支えになった。