吉沢亮が渋沢栄一を演じるNHK大河ドラマ『青天を衝け』が話題を集めている。そんななか、始まったのが『小河ドラマ』だ。時代劇専門チャンネルなどで『小河ドラマ徳川☆家康』が放送開始され、にわかに注目度がアップしているのだ。その見どころについて、時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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幕末の話なのに、毎回、徳川家康(北大路欣也)の言動に注目が集まる大河ドラマ『青天を衝け』。さすが神君家康公。過去の大河ドラマでは1983年の『徳川家康』で滝田栄が思慮深い武将として登場、2000年の『葵 徳川三代』では何度も家康役を演じた津川雅彦が貫禄の演技を見せ、昨年の『麒麟がくる』でも明智光秀(長谷川博己)が若き日の家康(風間俊介)を信頼すべき人物として認めていた。
映画では『関ヶ原』で、石田三成(岡田准一)を憎み、「はらわたが煮えくり返る!!」と悪鬼のような顔になった家康(役所広司)も忘れがたい。まさに歴史の大物、大主役というイメージだが、そこに「ちょっと待った!!」…とまで強気ではないが、「こんなのもありますけど」みたいに声を出したドラマがある。
『小河ドラマ徳川☆家康』だ。『小河ドラマ』と聞いてニヤリとする人は、これまで製作されてきた『小河ドラマ 織田信長』、『小河ドラマ 龍馬がくる』などシリーズを見てきた方だと思う。「小河」は、読んで字のごとくダイナミックな歴史と偉人をちっちゃく描いて笑える「“非”本格派時代劇」シリーズ。今回は、天下人徳川家康の実像に迫るのである。
物語の始まりは、関ヶ原の戦い。「天下を獲った!」と喜んでいた徳川家康(三宅弘城)が、なぜか令和のテレビ局の会議室にタイムスリップしてしまう。こっそり隠れて聞いていると、どうやら自分を主人公にしたドラマが作られるらしい。しかし、なかなか主演俳優が決まらず、やっと決まったのが意外なことに時代劇の超大物スター・白川新太郎(松平健)だった。