芸能

田村正和さんが「父」の顔を見せた瞬間 一人娘を女優にしなかった理由

1977年のドラマ『鳴門秘帖(NHK)より

美剣士として活躍した作品。品のある佇まいと剣さばきは唯一無二の存在だった。1977年のドラマ『鳴門秘帖』(NHK)より

 俳優の田村正和さんが4月3日、心不全でなくなった。77才だった。名優・阪東妻三郎の三男として生まれ、映画とテレビで大活躍した田村さん。その私生活は秘密のベールに包まれていたが、1970年に結婚した妻の和枝さん(80才)との間には一人娘がいる。

「田村さんはインタビューなどでは“子供はうるさいから嫌い”と語ることが多かったのですが、実際は忙しい時間の合間を縫って娘さんと手をつないで近所を散歩していましたし、学校の卒業式にはこっそり出席していました」(芸能リポーター)

 めずらしく父親としての顔を公に見せたのは、2001年、愛娘と飲食業チェーンの御曹司との結婚式の場だった。

「スピーチをすることもなく終始、普段通りで落ち着いていました。ただ、娘さんが最後の挨拶の際に号泣したときは、田村さんも目を潤ませていましたね。いつもクールに見える田村さんは、実は子煩悩なパパで、娘さんが結婚するまで“あまりにかわいいから、自分から離れないように女優にはしなかったんだよ”と語っていたんです」(当時を知る関係者)

 愛娘が結婚すると、仕事とプライベートを完全に分けていた田村さんの姿勢に変化が見られるようになった。

「2003年秋にドラマ『新ニューヨーク恋物語』(フジテレビ系)の撮影をニューヨークでした際、田村さんは奥さんを現地に連れて行きました。長期のロケだったので、体調管理をしてもらうとともに、娘が巣立ってからの夫婦水入らずの時間を海外でも満喫したかったようです。

 夫婦でブロードウェイのミュージカルを観劇する予定でしたが、撮影スケジュールの都合で急遽キャンセルとなり、田村さんは本当に残念そうでした。あんなに悔しそうな田村さんの表情を見るのは初めてでした」(番組関係者)

 晩年は、それまで以上に夫婦で寄り添い、暮らした。都内のレストランオーナーが振り返る。

「4年ほど前に、田村さんと奥さんがお店にいらっしゃいました。田村さんはやせ細って、パッと見たところはどなたかわからず、手が震えるようでナイフでお肉を切り分けるのも大変そうでしたが、それを見た奥さんがさっと手を貸していました。会話は多くなく穏やかな会食でしたが、長年寄り添った夫婦の絆がうかがえました」

※女性セブン2021年6月3日号

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