テレワークにオンライン会議、リモート飲み会──。新型コロナウイルスの拡大は、さまざまなニューノーマルをもたらした。遠方から駆けつける人たちが一堂に会し、密の状態となりやすい葬儀もそのひとつ。令和の祭式「リモート葬儀」はどのように執り行なわれているのか。
3密対策として葬儀や法要をオンラインで中継する寺院や葬儀会社が増えている。この日、本寿院(東京都大田区)で行なわれていた四十九日法要もそのひとつ。同寺では昨年4月から、YouTubeやZoomを使って、法要をオンラインで中継している。
「コロナで葬儀や法要を先延ばししたり、取りやめたりする人が後を絶たず、当寺では一時期、例年に比べ3割から4割までご依頼が減ったこともあります」
こう語るのは、本寿院の三浦尊明住職。
「オンラインを導入してから、コロナで参列をためらっていた人はもちろん、若い人の参列も増えてきました。法要はあくまで仏法に耳を傾ける場所。パソコンやスマホを介してでも、参列する人が増えるのは大歓迎です」
本寿院の場合、手続きは専用フォームから申し込むことから始まる。登録されたメールアドレスに案内が届いた後、Zoomで打ち合わせを行なう。この日、本寿院でのリモート法要は遺族が遠隔から参加するケースだったため、開始直前に電話で連絡した後、アプリでの接続を確認し、法要が営まれた。
本寿院では4K対応のカメラ機材を使用し、読経がよく聞こえるように住職はピンマイクを装着している。そして、参列者がいない法要の場合は、僧侶が代理で焼香を行なう。画面の中で参列者が手を合わせる。Zoomによる法要であれば、双方向のコミュニケーションが可能。「初めて使うので少し手間取りましたが、父の前でお経をあげていただいて満足しています」(遺族)。