「テレビドラマの現場が、ぼくには向いているような気がする」──。約60年の俳優人生で数々の作品を世に残した田村正和さん(享年77)。「テレビの世界でいろんなことを教えてもらい育ててもらった」と語ったように、ワイルドな男や刑事など幅広い役柄を演じてきた。私生活は一切明かさなかった彼は、いつどんなときも“田村正和”であり続けていたのかもしれない。田村さんの活躍ぶりを振り返る。
●1987年 ドラマ『パパはニュースキャスター』(TBS系)
子育てとは無縁の独身キャスターが、突如パパになる! というホームコメディードラマ。それまでのクールな二枚目から、1980年代はコメディーも演じるようになった。
●1988年 ドラマ『ニューヨーク恋物語』(フジテレビ系)
コートのポケットに手を入れながら、ニューヨークの街を歩く正和さんがあまりにも絵になると当時話題に。
●2007年 映画『ラストラブ』
14年ぶりの映画出演が話題に。サックス奏者の役柄を演じるにあたり、撮影の2年も前からプロ奏者の指導と自宅練習を繰り返していたという。これが正和さんをスクリーンで見られる、最後の作品となっている。
●1994~2006年 ドラマ『古畑任三郎』(フジテレビ系)
三谷幸喜脚本の人気ドラマシリーズは、計42回放送され、数々の著名人がゲスト出演。32.3%という驚異的な視聴率を出した回もあった。古畑といえば、事件現場に自転車で飄々と登場するのがお決まりでもあった。
作品ファンの中でも人気のエピソード『赤か、青か』。当時23才の木村拓哉が、冷酷無比な爆弾犯を演じ話題に。犯人の身勝手な動機に、古畑がビンタするシーンはインパクトが強かった。
●1977年 ドラマ『鳴門秘帖』(NHK)
美剣士として活躍した作品。品のあるたたずまいと剣さばきは唯一無二の存在だった。
※女性セブン2021年6月3日号