もはや生活になくてはならない存在となっているスマホ。なかには“スマホ依存”となってしまう人も。まさか自分の中年息子までがスマホ依存になってしまうとは……と衝撃を受けたのがパート勤務の女性Aさんだ(72才)。Aさんが、40才の息子の情けないエピソードを明かす。
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4年前に一回り年上の夫が亡くなり、ようやく介護の日々から解放され、自由を謳歌できると思ったのですが……。40才になる息子が、
「ひとりで寂しいだろ? おれたちが一緒に住んでやるよ」
と、お嫁さんと孫とともにうちに引っ越してきたんです。
もう二度と人の面倒を見ないで済むと喜んでいたときだったので、息子の提案は有難迷惑。とはいえ、孫娘はかわいかったし、お嫁さんが息子の面倒を見るだろうからいいかと、受け入れてしまったんです。
しかし、すぐにうまくいかなくなりました。というのも、夕食はなるべく、息子家族と一緒に取るようにしていたのですが、息子は食事中もずっとスマホを見ているんです。子供の教育上よくないので、
「食事のときくらい、スマホを見るのをやめなさい」と注意しても、「これも仕事なんだよ」と言って聞かない。お嫁さんからも、「あの人、昔から食事中はああだったんですか?」と嫌みを言われる始末。
暗に私の育て方が悪いと言われているみたいでムカつきましたが仕方がない。確かに、末っ子長男だったこともあり、甘やかしたかもしれません。それからは、食事のたびに私が小言を言い、息子がキレる毎日……。しつけのし直しをしているようで、もうウンザリ。
そんなある日、家族ですき焼きを食べているときに、4才になった孫娘が、「あーちゃんは、お肉が大好き」と、うれしそうに言ったんです。
すかさずお嫁さんが、「ママもお肉が大好きだけど、あーちゃんのことも大好き」と言いました。
すると孫娘は、「ばあばも、あーちゃんのことが好きだよね」と、私にも笑顔を向けてくれたのです。
「ばあばも、あーちゃんが大好き」と、孫娘を抱きしめると、すかさず息子まで、「パパもあーちゃんが大好きだぞ」と……。
すると孫娘の顔から笑顔がスッと消え、「違うでしょ。パパはスマホがいちばん好きなんでしょ」と、言ったのです。私とお嫁さんは大爆笑。ショックを受けた息子の顔は忘れられません。
それ以来、食事中はスマホを見ないようにしていますが、孫娘のパパ嫌いは、変わっていないみたいです。「三つ子の魂百まで」とはよくいったもので、幼い頃の親の態度って大切なんですよね。自戒も込めて改めて思いました。
取材・文/前川亜紀
※女性セブン2021年6月3日号