体当たり企画などを得意とする『女性セブン』のアラ還ライター“オバ記者”こと野原広子が、まさかのドラマのモデルになった!? 女性週刊誌の若手記者を主人公としたドラマ『半径5メートル』(NHK総合、毎週金曜22時)が現在放送中。オバ記者が、ちょっとしたコネを駆使して、ワンシーンに登場したというのです。女優デビューを果たしたオバ記者が、撮影の様子をレポートします。
* * *
4月終わりの朝8時。都内某所の撮影スタジオで静かに待機していたとき、背中にただならぬ光を感じて振り向いたら、芳根京子さん(24才)がいたの。続いてさらに大きな発光体だったのが、永作博美さん(50才)と真飛聖さん(44才)。その存在感に圧倒されて、正直、帰ろうかと思ったわよ……。
それにしても、スタジオのセットは実にリアル。
女性週刊誌はいくつかの班に分かれていて、芸能や事件のスクープを扱う班を「一折」っていうんだけど、このセットがなんとも生々しい。さすが、制作スタッフが女性週刊誌の編集部を実際に訪れ、編集者やフリーライターから詳細・綿密な話を聞いてドラマが作られているだけあるわ。
がぜん気持ちが乗ってきた私は、制作統括の勝田夏子さんに「必然性があれば脱ぎます!」と意気込みを示したけど、「あはは。必然性はありません」と笑って却下された。もうひと押しすればよかったかな。
冗談はともかく、いざ撮影が始まると、女優の凄さを何度も見せつけられることになる。
新米編集者・前田風未香を演じる芳根さんが、ベテランライター・亀山宝子役の永作さんと言葉を二言三言交わして、編集部から走り去るシーン。何度かリハーサルをした後で「はい、本番!」。
スタジオが水を打ったように静まり返る中で、芳根さんは絶妙な表情をつけ、セリフを言ってから走り出す。ある位置まで来たらUターンしてカメラのところまで戻って、スタッフの誰かが何かを言うと最初からやり直す。演出家の「はい、もう一度」の声でセリフを言う。走る。戻る。走る。これを顔色ひとつ変えず、何回も何回も。
見ていると、女優がNGを出したから繰り返すのではなく、音声だったり照明のちょっとした微調整のために撮り直しているの。
「女優って短気な人には務まりませんね」と勝田さんに言うと、「ああ、そうですね」とさも当たり前のことのようなお返事。
「同じ表情で何回も演技することってできるものなんですか? 普通の言葉のやりとりならともかく、ラブシーンとか泣く演技のときはテンションをどうやって保ち続けるんでしょう?」と聞かずにいられない。すると、「人によりますが、何回でも泣ける女優さんがいるんですよ」だって。
それにしても私は大勘違いをしていたわ。演じるとは、その場面にふさわしい表情を作って、セリフを語り、体を動かすことだと思っていたけど、そんなのは仕事の一部。チームの一員として、望まれることを淡々と何度でも、ドラマ作りの部品になって繰り返していたのよね。連続ドラマとは、その地道な作業を朝から夜まで、スタジオという密室にこもってすることだったのね。不覚にも、この年になるまで知らなかったわ。