放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、再ブレイクした「もう中学生」と、森三中の黒沢かずこについてつづる。
* * *
私のラジオ番組に毎日“中学生”がやってきた。祝・再ブレイクの「もう中学生」、そして謎のラジオおたく「森三中」の黒沢である。
“もう中”は10年位前に工作で作る段ボール作品を持ってきてはぶっとんだギャグをやっていたのだが誰からも認められず、この10年間、親元の長野でくすぶっていた。いつの時代も天才は早過ぎるのだ。この男の不思議な面白さに気付いた有吉弘行がラジオに呼んだり『有吉の壁』に出したりして楽しんでいるのを見てうらやましくなり、私のラジオで喋ったら面白いのなんの。
一見おだやかで微笑ましくみえる芸風だが、その実、必ず小さな毒を入れてくるおかしさ。なにより頭の回転の良さにびっくり。ちなみに「もう中学生」とは小学校6年の時の作文のタイトルだそうな。ふざけた男である。ずっと喋っていたくなった。
そして朝から晩までラジオを聞きつづける「森三中」の黒沢。何年も前からずっと私と話してみたかったらしく、ゲストに呼んだのにひたすら私に質問してくる。
「なんでそんなに若いんですか。なんでそんなに頭の回転が速いんですか」「最初に家買ったの何歳の時ですか」「テレビって何歳までできるんですか」「テレビ番組の制作費がどんどん無くなっていくんですが、我々はどうすればいいんですか」「昔から何気なくおしゃれなんですけど、お家が金持ちだったんですか」「渋谷の富ヶ谷生まれってどの辺ですか」大きなお世話だ。まぁ次から次へと質問してくるのでびっくりした。
一日中ラジオを聞いているから何でも知っている。「あんな顔をして吉本では紳士的な男芸人は?」と問えば「ロバート秋山さんとケンドーコバヤシさん」という意外な答え。心は永遠の中学生だった。