コロナ禍においては、家族との接触でさえ気を使う。感染を避けるため、実家にずっと帰っていない人は決して珍しい存在ではないだろう。そんなご時世では、「新たな出会い」はとても困難だ。
現在、各マッチングアプリは、「オンラインデート」機能に注力している。国内最大級の恋活・婚活マッチングアプリ「Pairs(ペアーズ)」は昨年4月、アプリ内でビデオ通話ができる機能を実装した。オンラインデートには、ソーシャルディスタンスが保てる以外にも「余計な飲み代や時間がかからない」というメリットがある。コスパを重視する若い世代にはぴったりで、将来、コロナ禍が落ち着いたとしてもオンラインデートの文化は残るかもしれない。
一方で、リアルな出会いというものが若者の間でゼロになったわけでもない。感染対策を模索しながら、対面授業を行っている学校施設は全国に存在する。塾や習い事もあるため、「学校や塾で出会った、気になるあの人」という定番のシチュエーションは2021年にも一応健在だ。マッチングアプリのユーザーよりさらに若いティーン世代も、相変わらず恋はしているのだろう。
しかし、コロナ禍での出会いにおいて、「マスク」が大きな障害になっていないだろうか。一緒に食事しない限り、日常生活でマスクを外す機会はほとんどない。素顔をよく知らないまま恋に落ちるというのは、なかなか難しいことのように感じられる。
「マスク越しにチューされました」
若者の間で、もはやマスクは恋愛における重大なアイテムとなっているらしい。1990年代後半〜2000年生まれの「Z世代」を中心にした若者向けサービスの企画・コンサルティング会社ネオレアがInstagramを通じて中高生らを対象に「マスクと恋愛」について簡易的なアンケートを実施したところ、興味深い結果が出た。同社代表取締役の朝比奈ひかり氏が解説する。
「中高生を中心に『マスクを外すときに緊張したことがありますか?』とアンケートを取ったところ、1802人中 86%の人が『緊張したことがある』と回答。そして、『マスクを外した顔を見たら、想像と違ったことがありますか?』の質問には、1867人中 96%の人が『想像と違ったことがある』と回答しました。
コロナ禍で入学したため、『クラスメイトのマスクを外した顔を知らない』と答えた学生もいます。マスクで隠れている部分はどうしても頭の中で美化してしまいがち。誰しも美化をして『想像と違う』と思った経験があるからこそ、『自分もそう思われたらどうしよう』『顔を見られて嫌われないかな』と考え、デートでマスクを外すときに緊張する若者が増えているように感じます」