「定期健診で軽度の糖尿病との診断を受けて、そのまま病院に通うことになったのですが、気がかりなのは中年男性の担当医師のことです」
千葉県に住む会社員の岩田麻美さん(53才・仮名)はそう言ってため息をつく。
「毎回予約時間から30分以上待たされるうえ、私の顔も見ずパソコンをたたく。診察室では『同じお薬を出しておきますね』だけで、ものの2分で終了。食事内容など聞きたいことは山ほどあるのに、忙しそうで相談しにくい。コロナ感染のリスクを押して通っているのに意味があるのかしら、とモヤモヤします」
岩田さんのような“モヤモヤ”を感じた経験を持つ人は少なくない。
患者本位の医療を求めて活動を行う認定NPO法人「ささえあい医療人権センターCOML」理事長の山口育子さんによれば、コロナ禍のいまも多くの患者から電話相談が寄せられているという。
「緊急事態宣言で受付時間を短縮しているにもかかわらず相談件数は減っておらず、たくさんの人が医療に悩んでいることを実感しています。いま多いのは、『入院中の家族とコロナの影響で面会できない』ことへの不安です。
なかには『やっと面会できたとき、違和感を覚えて寝具をめくったら、全裸の上にパジャマをかけているだけで、着せてすらもらえていなかった』という、絶句してしまうほどひどい状況の人も。病院も逼迫しており、全面的に責められない部分もありますが、限度を超えています」
医療を取り巻く状況が大きく変化する現在、そこに身を任せるばかりでいると、意図しない結果を招く可能性も少なからずあるのだ。
医療の専門家によれば、そもそも身を任せるに値しない医師の割合は少なくないという。
『医者が教える「ヤブ医者」の見分け方』の著書がある松寿会病院理事長の金子俊之さんは、世の中の医師のうち3割はヤブ医者だと話す。
「日進月歩で発展する医療の世界で、最新の知見を得ようとしない医師はヤブ医者だといえます。一度取得してしまえば医師免許はよっぽどの不祥事を起こさない限り剥奪されません。資格取得後の勉強がものをいう世界なのにそれを怠る医師はプロ失格です」
専門知識がないのに看板を掲げる医師が
数多の診療科の中で、金子さんが特に気をつけるべきだと指摘するのは他科と並んで「小児科」と「リウマチ科」を掲げる医療機関だ。
「この2つは高度な専門知識が必要であるにもかかわらず、内科や整形外科の医師が“片手間”で診ていることも少なくない。特に小児科は知識と経験がないと大きな病気の予兆を見逃す可能性もある。医師の間では『子供は小さな大人ではない』という格言があるほどに差があるのです」
女性患者が多いリウマチ科も同様だ。金子さんは整形外科とリウマチ科を掲げる大阪のクリニックで旧態依然とした古い治療を受けていた患者を診療した経験があると話す。