日本でも大麻由来の医薬品の使用が“解禁”される見通しとなった。5月14日に開かれた厚労省「大麻等の薬物対策のあり方検討会」では、従来の規制を見直すとりまとめ案が提示された。
「現在、米国など諸外国では末期がん患者の緩和ケアや難治性のてんかん治療のため、大麻草を原料にした医薬品の使用を認めています。日本では大麻取締法で禁止されていましたが、今回の見直し案により、医療現場での使用が認められる方向です」(全国紙社会部記者)
解禁派がさらなる規制緩和を求める一方で、決定に反対する人もいる。『〈麻薬〉のすべて』(講談社現代新書)の著者で日本薬科大学教授の船山信次氏は、見直し案が“蟻の一穴”となることも危惧している。
「米国の州では、大麻成分の医薬品を認めた数年後に嗜好品の大麻を解禁するケースが目立ちます。昨年も新たにアリゾナ州など4州で合法化が決定しました。
日本でも今回の見直し案を突破口として、大麻摂取そのものの解禁を広げようとする動きが懸念されますが、米国などのように大麻を電車内や車の運転中に使用するということはこの国ではあってはならないことです」
厚労省の調査(2017年)によると、各国における大麻の生涯経験率で米国(44%)、フランス(41%)に比べて日本はわずか1%に抑えられているが、それが揺らぎかねないという主張だ。
その懸念からか、厚労省は医療用大麻の解禁とともに、すでに禁止されている所持や栽培などに加え、使用についても罰則を設ける、いわゆる「使用罪」の導入を検討しているという。
そうした流れを「時代遅れだ」と主張するのが、大麻所持の現行犯で逮捕された経験がある、元女優の高樹沙耶氏だ。彼女はこれまでネットで「合法化」を呼びかけてきた。
「解禁を嬉しく思います。大麻はがんだけでなく、リウマチや睡眠障害などにも効果があります。海外では酒やたばこより依存性は低いとされているので、使用罪の導入は時代遅れだと思いますね。大麻は怖いという思い込みを一度すべて白紙にして、冷静に大麻の効用について考えてみてほしい」