東京五輪2020の開催予定日が目前に迫っているにもかかわらず、新型コロナウイルス収束の気配はなく、開催を再延期すべきだという声も多い状況が続いている。多くの人に歓迎されて開催されるのがオリンピックの理想だが、残念ながらそうはなっていないのだ。
一方、大歓迎のなかで開催されたのが、1964年の東京五輪だ。当時、日本は戦後の高度経済成長に差し掛かったところで、東京五輪がその発展に拍車をかけた。そして、1964年には、多くのヒット商品も続々と登場したのだ。
高度経済成長期でモノが豊富になり、量よりも質を重視した商品が登場。『かっぱえびせん』や『ワンカップ大関』など、現在でも販売されているロングセラー商品が多いのも特徴だ。
また、エスビー食品の「インド人もビックリ」やカルビーの「やめられない、とまらない」など、印象的なフレーズのCMや、当時ブームだったシール、ワッペンなどのおまけ付き商品が、子供だけでなく大人も魅了した。
1964年に登場した、代表的なヒット商品を紹介する。
●森永製菓『ハイクラウンチョコレート』
外国たばこ風のおしゃれなパッケージと、本格派の味で人気を博した高級チョコレート。当時1箱70円。
●カルビー『かっぱえびせん』
「やめられない、とまらない♪」のCMでおなじみのスナック菓子。“かっぱあられ”シリーズの最後の商品として発売され、日本を代表するお菓子の1つに。当時50円。
●ロッテ『ガーナミルクチョコレート』
ロッテ初のチョコレートとして発売された商品。まろやかな口溶けと、真っ赤なパッケージが話題を呼んだ。当時30円。
●不二家『ネクター』
果実をまるごと裏ごしした濃厚な味わいが人気のネクター。当時はふたに付いていた金具で穴を開けて飲んでいた。当時60円。
●大関『ワンカップ大関』
初の一合瓶(180ml)入りカップ酒として、東京五輪の開会に合わせて発売。いつでもどこでも飲める手軽さで人気に。当時85円。
●サントリー『サントリーウイスキーレッド』
1930年に発売されたものの製造中止となっていた「赤札」を、「レッド」の名前で再発売。いまでは定番商品に。当時720mlで500円。
●ニッカウヰスキー『ハイニッカ』
2級ウイスキーでも、特級や1級に負けない品質と、当時500円という手頃な価格で大人気に。“ハイ”はオーディオ用語の“ハイファイ”が語源とされている。
●丸美屋食品工業『のりたま』
ふりかけの定番『のりたま』(1960年発売)に、1964年2月、エイトマンシールを封入した商品が登場して大ヒット。当時30円。
●味の素『クノールスープ』
ドイツ生まれの『クノールスープ』が登場。日本の食卓に初めて洋風スープがもたらされた。第1号は鍋で調理するタイプで、定番のコーンスープはまだなかった。
●エスビー食品『特製ヱスビーカレー』
「インド人もビックリ」のキャッチフレーズで一世を風靡した固形タイプのカレールウ。当時のCMでは、芦屋雁之助がインド人に扮していた。当時1箱50円。
●寺西化学工業『ラッションペン No.300』
“?”マークでおなじみのマジックインキに、初の水性インキ『ラッションペン』が登場。水性なのに水に流れにくい新機能が画期的だった。当時30円。
●ライオン『デンターライオン』
歯槽膿漏予防として発売された歯磨き粉。その後、当時なじみのなかった歯槽膿漏について訴求したCMが話題を呼び、ロングセラー商品に。当時95g120円。
●十條キンバリー(現・日本製紙クレシア)『クリネックス ティシュー』
日本初の箱入りティッシュペーパーとして発売されたのが、『クリネックス ティシュー』(同年『スコッティ』も発売に)。当時は1箱売りで、価格は100円。
取材・文/北武司
※女性セブン2021年6月10日号