近頃、健康に良いと注目を集めているのが、あずき(小豆)だ。あずきをテーマとしてムック本がヒットし、健康雑誌ではあずきの特集が組まれている。
あずきに含まれるポリフェノールは、動脈硬化や高血圧、糖尿病の予防などに効果があることはよく知られている。さらにあずきは「食物繊維」も豊富だ。大塚製薬の公式サイトにある「食品に含まれる食物繊維量一覧」によると、大豆を使用した挽きわり納豆が100gあたり5.9gに対して、あずきは17.4gと約3倍の含有量を誇る。
「食物繊維によって腸内環境が改善され、便秘解消、冷えやむくみの改善が期待できます」(あずき研究の第一人者で名寄市立大学教授の加藤淳氏)
ミネラルも多く含まれており、特に塩分を排出するカリウムは100gあたり1500mgと枝豆の3倍、グリーンピースの5倍である。あずきの「抗がん作用」に着目するのは、三重大学大学院准教授の伊藤智広氏だ。
「あずきに含まれるポリフェノール類が培養されたヒトの胃がん細胞に対して自然死(アポトーシス)を引き起こさせ、増殖を抑制することが分かった。また、胃がんを発症したマウスにあずきの煮汁を混ぜたエサを与えたところ、通常のエサを食べたマウスに比べて、がん細胞の増殖が60%まで抑制され、がんの進行を遅らせました」(伊藤氏)
マウスによる研究では、胃がんだけでなく肺がんや大腸がん、肝臓がんなどにも一定の抑制効果が示されたという。
このほか、昨年11月には米医学誌『Journal of Medicinal Food』で、記憶力低下や認知症の改善に効果的だとする論文が掲載されるなど、あずきの力に世界が注目している。その“パワー”を活かすには「食べ方」がポイントになる。管理栄養士で山野美容芸術短期大学講師の望月理恵子氏が語る。
「最もポピュラーなのは和菓子ですが、砂糖を多く含むので、できれば避けたい。とはいえ普段の食事であずきを摂るといわれても、なかなか馴染みが薄いでしょう。私が勧めるのは『あずきスープ』です」