いまやクルマの安全性能は一昔前とは比べものにならないほど進化しているが、そんな中、国土交通省の外郭団体が毎年テストしている安全性能ランキングがある。果たして2020年度に高得点をマークしたクルマとは? そして、惜しくも“5つ星”を逃したクルマはどこが至らなかったのか? 自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が、先ごろ発表された最新のアセスメント結果を元に分析する。
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クルマの安全性能について衝突、事故抑制の両面からテストを行い、数値化する自動車アセスメント。その審査を行う国交省の外郭団体、自動車事故対策機構(NASVA)は5月25日、2020年度のリザルト「自動車安全性能2020」を公表した。
ノミネート車は2020年度に発売された新型車のうち国内販売上位、および審査の申し出があったもの9車種10モデル(以下)だ。
●スズキ「ハスラー」/マツダ「フレア クロスオーバー」
●スバル「レヴォーグ」
●ダイハツ「タフト」
●トヨタ「ハリアー」
●トヨタ「ヤリス」
●トヨタ「ヤリスクロス」
●日産自動車「デイズ/デイズハイウェイスター」
●ホンダ「フィット」
●三菱自動車「eKワゴン/eKクロス」
満点は190点。配点は衝突安全が100点、予防安全が82点、事故時の緊急通報システムの有無が8点。調査項目は以下の通り。
【衝突安全】
・フルラップ前面衝突(真正面。壁などへの激突を想定)
・オフセット前面衝突(車幅の40%。車両同士の衝突を想定)
・側面衝突(横から突っ込まれる事故を想定)
・後面衝突時の頸部保護(追突事故を想定)
・助手席、後席へのシートベルト着用警報装置の有無
・歩行者の頭部保護
・歩行者の脚部保護
【予防安全】
・被害軽減ブレーキ(一般に自動ブレーキと呼ばれているもの。対車両、対歩行者)
・車線逸脱防止
・後方視界情報
・高機能前照灯(アクティブハイビームなど)
・ペダル踏み間違い時加速抑制(アクセルペダルとブレーキペダルを取り違えたときの事故防止)
自動車アセスメントが始まったのは1995年。最初は前面衝突とブレーキ性能試験だけだったが、それから四半世紀を経た今日、試験内容は格段に多くなっている。
では、今年のリザルトを見ていこう。最高ランクのファイブスター(5つ星)を取るには、衝突Aランク(84.63点以上)、予防Aランク(66.40点以上)、事故自動緊急通報装置ありの3要素を満たす必要がある。今回、それをクリアしたのはレヴォーグ、ハリアー、ヤリス、ヤリスクロス、デイズ/デイズハイウェイスター、フィットの6モデルであった。