ビジネス

駅名公募開始のJR京葉線「幕張新駅」 高輪ゲートウェイの二の舞を避けられるか

幕張新駅の駅名公募が始まった。開業は2023年春予定

幕張新駅の駅名公募が始まった。開業は2023年春予定

 広く一般から募集する「公募」は、公平で平等な仕組みのようにみえるが、そこから「ふさわしい」ものを決定するのは困難な作業だ。たとえば公募を経て決定された「高輪ゲートウェイ駅」は、公募の結果をどのように反映したのかが分かりづらかったこともあって、ネットを中心に炎上した。ライターの小川裕夫氏が、6月1日から駅名公募が始まった2023年開業予定の京葉線「幕張新駅」をめぐる課題についてレポートする。

 * * *
 東京駅と千葉県の蘇我駅を結ぶ京葉線は、沿線に葛西臨海公園や東京ディズニーリゾート、幕張メッセなど集客施設を多く抱え、ベッドタウン化により沿線人口も増加、利用者は右肩上がりを続けている。その京葉線に、住民の利便性向上や都市発展の起爆剤として新習志野駅~海浜幕張駅間に新駅を開設することになった。JR東日本は2020年に着工、2023年春の開業を目指している。そして、これまで幕張新駅と仮称されてきた新駅名を、6月1日から公募すると発表した。

 特殊な事情がある場合をのぞき、駅の名称の命名権は鉄道事業者にある。幕張新駅の場合は、JR東日本に駅の名前をつける権利があるということになる。もともとJR東日本は幕橋新駅の駅名を自分たちで決める予定で新駅計画を進めていた。しかし、近年の駅名を公募するという潮流に鑑み方針を変更。幕張新駅も公募することにした。

 駅名公募といえば、2020年春に開業した高輪ゲートウェイ駅を思い出す人が多いだろう。高輪ゲートウェイ駅の駅名公募には、約6万4000通もの駅名候補案が寄せられた。しかし、上位の高輪駅や芝浦駅、芝浜駅は選から漏れ、わずか36票の応募だった高輪ゲートウェイ駅に決まった。

 強引とも思える高輪ゲートウェイ駅への決定は、選考過程が不透明だったこともあって「出来レースだったのではないか?」という波紋を呼ぶ。幕張新駅の駅名を公募についても、高輪ゲートウェイ駅の名称をめぐる騒動が思い出されるのもやむを得ないだろう。だが、今回の公募にあたっては、幕張新駅ならではの理由があった。

「幕張新駅の駅名を公募する理由は、千葉県・千葉市・イオンモールの3者で構成される幕張新都心拡大地区新駅設置協議会とも一緒に新駅開業の準備を整えてきたことにくわえ、利用客や地元住民に親しみをもってもらいたいという考えからです」と説明するのは、JR東日本千葉支社総務課広報グループの担当者だ。

 Webサイトと郵便で広く募集した高輪ゲートウェイ駅とは異なり、幕張新駅の名称に応募できるのは千葉市在住者もしくは通勤・通学者に限定されている。また「公募結果をもとにして、同社が新駅にふさわしい名称を選考する」「応募数が一番多い名称が採用されるとは限らない」といった但し書きが強調されている。

 同駅は千葉県・千葉市といった地方自治体、さらに近隣に大規模商業施設を構えるイオンモールが開設費用を負担した。それが新駅の開設を実現した要因でもある。

関連記事

トピックス

ファンから心配の声が相次ぐジャスティン・ビーバー(dpa/時事通信フォト)
《ハイ状態では…?》ジャスティン・ビーバー(31)が投稿した家を燃やすアニメ動画で騒然、激変ビジュアルや相次ぐ“奇行”に心配する声続出
NEWSポストセブン
NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」で初の朝ドラ出演を果たしたソニン(時事通信フォト)
《朝ドラ初出演のソニン(42)》「毎日涙と鼻血が…」裸エプロンCDジャケットと陵辱される女子高生役を経て再ブレイクを果たした“並々ならぬプロ意識”と“ハチキン根性”
NEWSポストセブン
山口組も大谷のプレーに関心を寄せているようだ(司組長の写真は時事通信)
〈山口組が大谷翔平を「日本人の誇り」と称賛〉機関紙で見せた司忍組長の「銀色着物姿」 83歳のお祝いに届いた大量の胡蝶蘭
NEWSポストセブン
20年ぶりの万博で”桜”のリンクコーデを披露された天皇皇后両陛下(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
皇后雅子さまが大阪・関西万博の開幕日にご登場 20年ぶりの万博で見せられた晴れやかな笑顔と”桜”のリンクコーデ
NEWSポストセブン
朝ドラ『あんぱん』に出演中の竹野内豊
【朝ドラ『あんぱん』でも好演】時代に合わせてアップデートする竹野内豊、癒しと信頼を感じさせ、好感度も信頼度もバツグン
女性セブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
《実兄が夜空の下で独白》騒動後に中居正広氏が送った“2言だけのメール文面”と、性暴力が認定された弟への“揺るぎない信頼”「趣味が合うんだよね、ヤンキーに憧れた世代だから」
NEWSポストセブン
高校時代の広末涼子。歌手デビューした年に紅白出場(1997年撮影)
《事故直前にヒロスエでーす》広末涼子さんに見られた“奇行”にフィフィが感じる「当時の“芸能界”という異常な環境」「世間から要請されたプレッシャー」
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下は秋篠宮ご夫妻とともに会場内を視察された(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
《藤原紀香が出迎え》皇后雅子さま、大阪・関西万博をご視察 “アクティブ”イメージのブルーグレーのパンツススーツ姿 
NEWSポストセブン
第三者委員会からハラスメント被害が蔓延していたと指摘されたフジテレビ(右・時事通信フォト)
《フジテレビの“あしき習慣”》古くからあった“女子アナ接待”の実態、仕切りは人気ドラマのプロデューサー スポーツ選手との関係構築のため“利用”するケースも
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
【独自】「弟がやったことだと思えない…」中居正広氏“最愛の実兄”が独白30分 中居氏が語っていた「僕はもう一回、2人の兄と両親の家族5人で住んでみたい」
NEWSポストセブン
『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト