新型コロナウイルスに対しては、それがある状態での生き方、暮らし方を見つけなければいけないと言われてきた。「ウイズコロナ」の時代にあるべき姿、といった内容の呼びかけや研修なども開かれているようだが、そんな勉強よりもとにかく実践につきすすんでいる人たちがいる。ライターの森鷹久氏が、近ごろ賑わいが復活してきた「夜の街」で働く人たちについてレポートする。
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新型コロナウイルスの1日の感染者数が減少傾向にある。また市民の「自粛疲れ」もピークに達したからか、繁華街や行楽地に人出が戻りつつある。多くなってきた街に繰り出す人たちをあてにした闇営業、もしくは自治体から自粛要請されている酒類提供を堂々と行う飲食店も急増しているが、同時に増え続けているのが接待を伴う飲食店として位置づけられる「キャバクラ」や「風俗店」だ。
「街中でお酒を飲む方が増え、お店に来る人もコロナ禍前の水準に近づきつつあります」
こう話すのは、東京・池袋のキャバクラ店経営者・長田春樹さん(仮名・40代)。自身が闇営業していることも、都の要請を無視して客に酒類の提供をしていることも認め「仕方がないんです」と項垂れるが、目下の悩みは、女性キャストが全然出勤してくれない、ということ。
「コロナになって店の運営がかなり厳しくなり、半分以上の女の子が辞めていきました。こういう業界ですから、女の子に休業手当などを支払うこともできませんでした。いざお店を再開する、となっても女性キャストが圧倒的に足りない。お客はたくさんいるのに、と焦るばかりです」(長田さん)
経営者視点から見るとそうだろうが、人手不足と言われる女性キャスト側からは、どうなのか。
「感染が怖くてお店を一年以上休んでいたのですが、一ヶ月ほど前からお店が通常営業に。マネージャーから電話がかかってきて、面接の時には週3で出たいと言っていただろう、出なければ時給を減らすし、来ないのなら罰金、とまで言われてしまったんです」
大阪市内のキャバクラ店勤務・岡本香苗さん(仮名・20代)は、街に人出が戻ったことから、背に腹は変えられないという思いでキャバクラ出勤を再開した。だが、そこには衝撃的な現実が待っていた。