普段家事や育児を一手に担う主婦たちにとって、休暇で訪れた旅先はくつろぎの場だ。とりわけコロナ禍では女性の半数以上が「家事負担が増えた」と実感していることを示す調査もあり、窮屈な日常からから解放されたいという気分もひとしおなはずだ。
しかし、その旅先が、温泉宿や高級なホテルではなく、“キャンプ場“だった場合は話が変わってくる──。
昨今はYouTubeでキャンプ動画が人気となるなど、空前のアウトドアブームと言われている。さらに、コロナ禍では“密にならない娯楽”としてのアウトドアにも注目されている。
ところが、必ずしも誰もがキャンプを喜んでいるわけではないのだ。ゴールデンウイークに家族でキャンプに出かけた兵庫県在住の専業主婦・村上香さん(仮名・42才)は「主婦はキャンプ場でくつろげない」と訴える。
「コロナで家族が家にいる時間が長くなって負担が増えた家事から、大自然のもと解放されるかと思いきや、結局、妻の仕事が倍増するだけ。
重いリュックを背負って、テントを汗まみれで立てるまでは夫とやるとしましょう。でも、虫に刺されながら自炊して、家族全員のカレーとご飯がこびりついた飯ごうを水で洗って、子供の遊び相手をするのは私。旅行のよさは“上げ膳据え膳”だと再確認しました」
『キャンプ職業案内』の著書がある、キャンプコーディネーターの佐久間亮介さんは、キャンプ場で険悪になる夫婦を何度も目にしてきた。
「準備が足りてないことが、キャンプでもめる始まりです。初めてキャンプをする人は特に、ランタンを飾って、料理もオシャレなものにして……と“理想のキャンプ”を体現しようと予定を詰め込みますが、初心者が1泊2日で全部やるのは難しいんです。“うまく行かないことも楽しむ遊び”と思って準備することが大切です」
※女性セブン2021年6月17日号