昨今、愛好家が増えているのが「アウトドア」だ。YouTubeでは、多くのタレントたちがアウトドアを楽しむ動画を公開し人気を博している。さらに、コロナ禍においては、開放的な野外で時を過ごすアウトドアは“密にならない娯楽”としても注目されている。
しかし、誰もがアウトドアが好きなわけではない。キャンプ場で仲違いをするカップルは“よくある話”だといわれ、アウドドア熱を押し付けてくる夫に家族全員がドン引きするなどのエピソードも多いという。
また、アウトドアでの「困った人」のエピソードは男性が圧倒的に多く、女性の事例は少ないと言われている。生物学者の池田清彦さんは、この問題にはたしかに性差が関係すると話す。
「もともと男性には狩猟本能があり、コロナ禍で外に出られないいま、その本能的な“冒険欲”を満たしてくれるのはアウトドアだけ。
加えて、男性はマルチタスクが苦手で猪突猛進型が多いため、行き当たりばったりを好む人が多い。こうした要因が、家族を振り回してしまう」
実際、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美さんのもとには、振り回される妻たちの相談が多数寄せられている。
「根底にあるのは価値観の違いです。アウトドア好きの男性は大自然の中で、子供たちにいろいろと教えることができるし、楽しむことができないやつはダメだ、という思い込みがある。
一方で妻はアウトドアくらいで、なぜ人格否定されなければならないのか、と不満に思う。好きなものを理解されない夫と嫌いなものを押しつけられる妻の間に深い溝が入り、離婚に至るケースは少なくありません」(池内さん・以下同)
先日も池内さんのもとに“潮干狩り”がきっかけで、大げんかになった夫婦が相談に来た。
「夫の提案で潮干狩りに行くことになった妻は、朝早くからお弁当を作らされたそうです。帰宅したらしたで、採ってきたあさりですぐ料理しろと言われる。砂を吐かせるのに一晩置かないといけないと伝えたら、夫は怒り出す。早起き、お弁当、夕食、砂が入った服の洗たく……こんなに私ばかり大変なのに、怒られるのは理不尽だと主張。
一方、夫は行きも帰りも運転を担当して大変だったと主張し、大もめにもめました」
池内さんは、うかつな提案をした夫に謝るべきだと伝え、今後どこに行くかは相談して決めた方がいいと諭し、一応の結着をみたという。
※女性セブン2021年6月17日号