怪物ルーキーに新たな伝説が加わった。5月28日の西武戦(メットライフドーム)で阪神の佐藤輝明(22)が驚愕の1試合3ホーマー。新人では1958年の巨人・長嶋茂雄以来となる快挙だ。
ファンの期待度も天井知らず。6月2日に発表されたオールスターゲーム(7月16日・メットライフドーム、7月17日・楽天生命パーク宮城)のファン投票の中間発表で4万7769票を獲得し、12球団トップとなった。
佐藤の球宴初出場は確実だが、問題となりそうのは、その「起用法」だ。
「今年のセ・リーグの監督は、巨人・原辰徳監督です。にわかに注目が集まっているのが、原監督が誰を『セの4番』に据えるか。格で決めるなら広島の鈴木誠也(26)が妥当ですがコロナ離脱もあり、“監督特権”で巨人の岡本和真(24)を選んで経験を積ませるかもしれない。岡本は今、巨人4番史上最年少の100本塁打を達成して乗りに乗っていますからね。
はたまたサービス精神旺盛な原監督なら、ファンの支持が圧倒的な佐藤を4番に抜擢するかもしれません」(スポーツ紙記者)
『監督・原辰徳研究』の著書がある野球評論家の江本孟紀氏は、「原監督なら佐藤の4番起用はあり得る」と語る。
「ファンサービスを大事にするタイプだからと言いたいが、一番の理由は岡本に刺激を与えるためです。原監督が年下のスラッガーを抜擢したとなれば、岡本は内心穏やかじゃないはず。“巨人の4番だからと満足していられない”と後半戦で奮起するのではないか」
もうひとつは、ライバル球団のホープにプレッシャーを与えるためだ。
「パ・リーグのエース級が本気で佐藤を抑えようとすれば、もともとムラの多い打撃の佐藤は全打席三振する可能性だってある。ファンの期待に応えようと自分の打撃を見失えば、球宴を機に調子を落としかねません。
ただし、この作戦は原監督にとってギャンブル。もしセの4番として大活躍したら後半戦は手がつけられなくなり、阪神をさらに独走させる可能性もある」(江本氏)
2年ぶりとなる今年のオールスター。原監督の采配やいかに。
※週刊ポスト2021年6月18・25日号