美容、料理、学習、エクササイズ、ゲーム、V-logなどなど、さまざまジャンルのユーチューバーが溢れている今。韓国では、あるジャンルのユーチューバーが人気を集めている。それは、脱北民のユーチューバーたちだ。
現在、韓国に定着している脱北民は3万人以上。彼らは、「セトミン(「新しい土地での民」の略語)」と呼ばれ、韓国の国籍を持っている(以前は「脱北者」と呼ばれていたが、この言葉は政治的で暗い印象を与えるとの理由で2005年から「セトミン」と呼ぶようになった)。
セトミンの中には、政治家や教授、ジャーナリスト、芸能人など、表舞台に立つ仕事をしている人も年々増えていて、最近はユーチューバーとして活躍する人も多い。
セトミンのユーチューバーたちは、自分たちの経験を交えた北朝鮮の様子を詳しく教えてくれる。筆者は韓国人だが、その情報は、私たち韓国人にとってもものすごく興味深い。ここではそんなリアルな最新情報をお伝えしたいと思う。
北朝鮮でも韓国ドラマが大人気!
彼らのユーチューブが注目されるきっかけになった一つが、韓国ドラマ『愛の不時着』のレビュー動画だ。セトミンが自分たちの実際の経験をもとに、ドラマで描かれている北朝鮮の生活や習慣について分析し、解説している。
ドラマの中だからと思っていたことが、北朝鮮では実際、普通に行われているようで、韓国人である私が聞いてもびっくりする話が多い。
今年1月に東京から巡回が始まった『「愛の不時着」展』が現在名古屋会場(~7月4日、ナディアパーク地下1F特設会場)でも好評開催中のように、その人気は日本でも絶大なこのドラマ。セトミンたちも夢中にさせて、彼らの目から見ても、「北朝鮮の描写が半端ない」と言う。
メイン脚本家のパク・ジウン氏(ドラマ『星からきたあなた』などの人気脚本家)は何人ものセトミンに取材をし、補佐脚本家には北朝鮮出身者もいるという。また、北朝鮮のシーンでは、実際のセトミンたちも出演している。ヒョンビン演じる主人公・リ・ジョンヒョクが住む北朝鮮の村の住民を演じたあるセトミンは、撮影セットがリアルすぎて、北朝鮮にいるかのような気持ちになったと言うほどディテールまで再現されている。
ちなみに、ドラマでジョンヒョクとヒロインのユン・セリ(ソン・イェジン)が乗った平壌行きの電車の中で、楽器を演奏しながら歌っていた女性は、北朝鮮で有名芸術学校を卒業したセトミン。北朝鮮にいた時からヒョンビンの大ファンで、彼の前で歌えて幸せだったという。