ワクチンを打つべきか、打たざるべきか。接種のメリットとデメリットの間で揺れている国民は多い。そんななか、皇族方の1回目接種が明らかになった。上皇ご夫妻もまた、国民を慮り、接種への葛藤を抱えられていた。
かつて誰も見たことのない光景に息をのんだ。天皇陛下と皇后陛下が、板張りの床に膝をつかれ、国民に言葉をかけられている──。長崎県にある雲仙普賢岳が噴火し、火砕流が街をのみ込んだのは、1991年6月3日だった。
そのとき、当時の天皇陛下と美智子さまが避難所を慰問され、座り込む被災者の手を取り、語りかけられた姿は、「国民目線」の両陛下の姿勢を強く印象付けた。いまでこそ天皇皇后両陛下の“定番”の慰問のスタイルだが、当時は賛否相まって、衝撃的なことと受け止められた。あれからちょうど30年。自ら国民に寄り添われようとする上皇ご夫妻の姿勢は、いまもなお変わらない。
アナフィラキシー反応はあるのですか
6月1日、皇居の門を何台かの黒塗りの車が通過した。上皇陛下の弟の常陸宮さまと同妃華子さま、寛仁親王妃信子さま、高円宮妃久子さまを乗せられた車で、いずれも65才以上の皇族方だ。皇居内にある宮内庁病院で、新型コロナウイルスの1回目のワクチンを接種されたという。ただ、そこに上皇ご夫妻のお姿と、皇室で最高齢である三笠宮妃百合子さまのお姿はなかった。
「上皇后美智子さまは、ワクチンを接種することにご抵抗感を抱かれていたといいます。1つはワクチン接種のメリットとデメリットについて熟考されていたこと。もう1つは接種のタイミングについてでした」(宮内庁関係者)
コロナの流行が始まって約1年半、美智子さまは、皇族方の中でも群を抜いて徹底した感染対策を取られてきた。
「美智子さまは、“上皇さまに感染させてはならない”というお気持ちで、『おこもり生活』を徹底してこられました。外出は、基本的に仙洞仮御所(東京・港区)内のお庭のお散歩と、宮内庁病院への通院のみ。3月、ご友人の弔問のため半年ぶりに外出されるも、15分という短い時間だったといいます。側近と話すことも最低限にされ、娘の清子さんと顔を合わせるのも避けられています」(皇室ジャーナリスト)
そもそも感染リスクが低い生活のなかで、ワクチンを接種する必要があるのだろうか。6月4日に98才のお誕生日を迎えられた百合子さまは、ワクチンを打たない選択をされたという。
「百合子さまはご高齢であるのに加え、お住まいの赤坂御用地での生活は感染する可能性が極めて低いといっていい。感染リスクと、ワクチン接種の副反応などで体調を崩されるリスクを天秤にかけた結果、『ワクチン接種はしない方がいい』という判断になったそうです。百合子さまご自身も納得されていると聞いています」(前出・皇室ジャーナリスト)