「幸いにも副反応はまったくなく、久しぶりに遠出をしようと、夫婦で隣の州に旅行に行きました。アメリカは手軽に接種できるから、周囲の人もほとんど受けている印象です」
こう語るのは5月末に夫婦で2回目の接種を済ませたばかりだという米テキサス州在住の大森美咲さん(仮名・32才)だ。世界各国でワクチン接種が進み、大森さんの住むテキサス州など一部の地域では普段の日常を取り戻しつつある。アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。
「最新のデータによれば、アメリカ国内のワクチン接種率は右肩上がりです。すでに成人の6割以上が1回以上の接種を受けており、10月頃には国民の7割が接種を終えると予想されています」
接種率が上がるに従い、少しずつコロナ前の日常を取り戻しつつあるアメリカでは、一部の州で接種を終えた人にマスク着用義務を解除。ニューヨークに至っては経済を復興させるために、海外からの観光客に無料でワクチンを接種する「ワクチン接種ツアー」を開催するほどだ。
「まだ接種を受けていない人に対して、多くの州で “ワクチン特典”の制度を取り入れています。例えばオハイオ州では受けた人に対して、抽選で賞金100万ドルが当たる『ワクチンくじ』を配っています。私が住むマサチューセッツ州でも、スーパーで使える25ドル分のギフトカードなどの導入が検討されています」(大西さん)
ほかにも、ビール券や狩猟用のライフル銃、ドーナツを特典として提供するなど、各地域さまざまな方法で接種率を上げるべく奮闘している。EUでは、ワクチン接種者が円滑に移動できるよう「ワクチンパスポート」を導入することを決めた。EUに加盟する27か国が取り入れることを予定しており、ドイツなど7か国はすでに導入している。
ワクチンの接種履歴やPCR検査の結果などの個人情報をワクチンパスポートに付随するQRコードで管理し、このパスポートがあれば検査や隔離を求められることなく、加盟国間を行き来できる。
世界に先立ってワクチン接種を行ったイスラエルは2月からいち早くワクチンパスポートを取り入れ、その結果大幅に感染者を減らし、現在は行動制限がほぼ解除された状態となっている。
※女性セブン2021年6月24日号