今年の大学入試を振り返ると、私立大学一般選抜の志願者数は12%もの減少だった。これで2年連続の志願者減だ。一方、国公立大学の一般選抜の志願者減少も、目立たないものの実はずっと続いている。
この10年で見ると、志願者が前年と比べて増えたのは2019年だけだ。
この年は2020年度からの大学入試改革を見据え、浪人すると新入試を受けることになるため、受験生は極力、現役での大学進学を考えたようだ。そのため、安全志向も高まり、国公立大志望者が増えたものと見られる。
少子化とは関係ない
10年前の2011年に50万人を超えていた国公立大の志願者は、今年は42万5000人ほどにとどまった。10年前と比べて7万8778人、15.6%の減少だ。2011年は2008年に起きたリーマンショックによる不況の影響から、学費の安い国公立大人気が高まった。
少子化と言われるが、現在の18歳人口は2011年と比べてそれほど減っていない。にもかかわらず、国公立大の志願者は減少している。
近年新設されている公立大の志願者はさほど減らず、国立大が減少し続けているのは、公立大のほうが入りやすいこともあり人気が高いためだ。
大学入試改革が裏目に
2020年に国公立大志願者は前年に比べて約3万人減り、今年も約1万4000人減った。この2年で大きく志願者が減っており、急速に「国公立大離れ」が進んでいる。
その理由のひとつが受験生のセンター試験、共通テスト離れだ。
2020年のセンター試験志願者数は55万7699人で前年より1万9131人、3.3%減だった。これは31年続いたセンター試験史上、過去最大の志願者減だった。センター試験まで待たずに年内に私立大などの推薦入試やAO入試(現・総合型選抜)を受けた受験生が多かった。2020年度の入試改革を敬遠してのことだ。
さらに、今年から始まった共通テストの志願者は、最後のセンター試験と比べて2万2454人、4.0%減で、こちらも前年を下回る過去最大の減少幅となった。現役生は前年と同じ2.7%減だったが、浪人生が19.3%も減った。
いよいよ大学入試改革元年ということから、2020年に進学を決めた受験生が多く浪人生自体が少なかった。このセンター試験、共通テストの志願者減少が国公立大入試の志願者減少につながった。