北朝鮮メディアが、国営孤児院の子供たちが炭坑や農場などで働いていることについて、「朝鮮労働党が彼らに注いだ愛情のわずか100万分の1だけでも返そうとする誓いを果たすために、労働作業にいそしんでいる」などと、“美談”として報じていることが分かった。
しかし、ジュネーブに本部を置く「国連子どもの権利委員会」は最近の定期報告書の中で、「子どもたちが農場や鉱山で働くことを要求されている」ことについて「真剣に懸念している」と述べ、「子供たちの教育、健康、休息、レジャーの権利を妨げている」と非難している。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)によると、「孤児の子どもたちが困難で労働を必要としている分野で働くことを祝福する」ための式典と、4月の共産主義青年団の大会を開催した金正恩党総書記の指令を称賛する式典が今年5月下旬、東海岸と西海岸の孤児院に併設された学校で行われた。
このなかで、KCNAは北朝鮮の孤児院の150人の少年少女が「党の愛を返済」するために炭鉱に殺到して「困難な労働を必要としている分野」で「国家のために、溢れんばかりの知恵と勇気、熱意を持ってボランティア活動を行っている」と伝えている。
北朝鮮では最近、「困難で労働を必要としている分野で働く熱狂的な若者のボランティア活動」について、共産主義の特徴と自己犠牲精神を具現化するモデルであると称賛するキャンペーンが盛んに展開されている。
しかし、「国連子どもの権利委員会」2017年の報告書のなかで、「北朝鮮では子どもが学校の実習として労働させられているとの情報があり、国際条約が禁じる『児童労働』に当たる」として深刻な懸念を表明。子供たちの「ボランティア活動」の現場は、落盤の危険があるような炭鉱だったり、重労働が強いられる農場などで、「大人たちでも働きたがらないよう場所がほとんどだ」として、「子どもが拷問や虐待を受けない権利が十分に保障されていない」として改善を勧告している。
これについて、北朝鮮の韓大成駐ジュネーブ国際機関代表部大使は「執拗で悪意のある制裁措置が子どもの生存の権利を侵害している」と国連の経済制裁を批判した。
また、北朝鮮外務省は最近、「わが国の純粋無垢な心を持つ子供たちはいつも『父親』である金正恩氏の夢を見たいと願っているのだ」などとの声明を発表している。