政府が強行開催の姿勢を崩さない東京オリンピック・パラリンピックの開幕まで40日を切った。そんな中、海外選手の事前合宿や交流の受け入れ中止が相次いでいる。その数は全国で100以上の自治体に及ぶ。まちを挙げて準備してきた一大イベントの中止に翻弄される自治体の実情をジャーナリストの山田稔氏がレポートする。
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東京オリパラでは事前合宿や交流を行うホストタウン事業に、全国528の自治体が登録した。ところがコロナ禍の拡大で事前合宿・交流の中止が続出、これまでに全国で100以上の自治体が中止した。大半は相手国からの打診、申し出だが、自治体の判断で見送ったところもあるという。
カナダから届いたメール「今後の予定が見通せない」
今年になってカナダの事前合宿中止が決まったのは、長野県の岡谷市。諏訪湖に面した人口約4万7000人の「湖に映える、美しいものづくりのまち」である。2005年に長野県内で行われたスペシャルオリンピックス(冬季大会)でカナダのホストタウンとなったことがきっかけで交流が始まった。
2018年12月には、カナダ卓球協会長が岡谷市を訪れ、練習や宿泊環境に満足し、カナダの卓球チームが事前合宿を行うことになっていた。
ところが、1月になって突然、一通のメールが届いた。コロナ感染拡大の状況下で「今後の予定が見通せない。事前合宿は自国で行う」というカナダ卓球協会からの断りのメールだった。
カナダチームの練習相手を務めることになっていたのは、実は岡谷市役所の卓球部のメンバーたちだった。
同部は全国実業団選手権で3年連続で8強入りしたこともある強豪。それだけに、「メンバーたちは今回の中止決定を残念がっていた」(市役所関係者)というが、市としては具体的な計画はないものの、今後もカナダとは市民レベルでの交流を継続していきたいとしている。