ビジネス

「コロナ後も売り上げは7割しか戻らない」脱居酒屋を急ぐワタミ会長の生き残り策

新業態「焼肉の和民」をPRする渡邉美樹会長兼グループCEO(時事通信フォト)

新業態「焼肉の和民」をPRする渡邉美樹会長兼グループCEO(時事通信フォト)

 6月に入り上場居酒屋チェーンの株価が軒並み上がった。

 新型コロナウイルスの流行により、外食産業、とりわけ居酒屋業界は致命的な打撃を受けてきた。現在の緊急事態宣言でも酒類提供の自粛が求められているため、多くの居酒屋が休業に追い込まれている。

居酒屋チェーンの株価が軒並み好調なワケ

 しかし6月に入り、緊急事態宣言が20日で終わり、その後は酒類提供が可能になる見通しとなってきたことに加え、ワクチン接種が予想以上に順当に進んでいることで、収束への道筋が見えてきた。

 ワクチン接種で先行するアメリカでは、コロナ禍の反動で個人消費が爆発的に増えている。いずれ日本でも自粛生活の反動が起きることは確実だ。そうなれば、1年前のGo Toイート時以上に外食産業は活況になる。こうした思惑が居酒屋チェーンの株価を動かした。

 とはいえ、コロナが収束すれば居酒屋チェーンに客が戻り業績が上向く、というほど単純な話ではない。

 コロナ前から、人口減少や若者のアルコール離れ、さらには大人数での飲み会が減ったことなどで、居酒屋業態の衰退は明らかだったからだ。コロナがおさまれば客が増えるかもしれないが、それは一時的なものにすぎず、衰退に歯止めがかかるわけではない。

「居酒屋」からの転身を図るワタミ

「コロナが収束しても売り上げは7割までしか戻らない」

 こう語るのは居酒屋チェーン最大手のワタミの渡邉美樹会長兼グループCEOだ。

 ワタミは2020年3月期に29億円の最終赤字に転落、さらに2021年3月期には115億円の最終赤字と傷口はさらに広がった。現在も居酒屋業態の大半の店が休業しているだけに、渡邉会長もコロナ収束を心待ちにしているが、それと同時に居酒屋の将来を経営者として冷静に読んでいる。

急速に店舗数を増やす「焼肉の和民」(東京・錦糸町店)

急速に店舗数を増やす「焼肉の和民」(東京・錦糸町店)

 そこでワタミが現在、取り組んでいるのが、「居酒屋から焼肉屋へ」だ。1年前、「和民」など居酒屋業態の店舗は全国に約450店舗あった。そのうちの120店舗を「焼肉の和民」に業態転換するというのだ。

 昨年10月5日に「焼肉の和民」の第1号店を東京・大田区大鳥居駅前にオープンしたのを皮切りに、今年3月末までに23店が誕生した。焼肉屋は居酒屋に比べるとメニュー点数が少ない。しかも客が自ら肉を焼くので調理工程が大幅に簡略化できるため利益率が高い。

「焼肉の和民」のメニュー(時事通信フォト)

「焼肉の和民」のメニュー(時事通信フォト)

 さらには煙対策として換気も万全なため、客からすれば安心感がある。実際、業態転換した店は、コロナ前の居酒屋時代よりも売り上げを大きく伸ばしている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

元皇族の眞子さんが極秘出産していたことが報じられた
《極秘出産の眞子さんと“義母”》小室圭さんの母親・佳代さんには“直接おめでたの連絡” 干渉しない嫁姑関係に関係者は「一番楽なタイプの姑と言えるかも」
NEWSポストセブン
岐阜県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年5月20日、撮影/JMPA)
《ご姉妹の“絆”》佳子さまがお召しになった「姉・眞子さんのセットアップ」、シックかつガーリーな装い
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《極秘出産が判明》小室眞子さんが夫・圭さんと“イタリア製チャイルドシート付ベビーカー”で思い描く「家族3人の新しい暮らし」
NEWSポストセブン
ホームランを放ち、観客席の一角に笑みを見せた大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平“母の顔にボカシ”騒動 第一子誕生で新たな局面…「真美子さんの教育方針を尊重して“口出し”はしない」絶妙な嫁姑関係
女性セブン
川崎春花
女子ゴルフ“トリプルボギー不倫”で協会が男性キャディにだけ「厳罰」 別の男女トラブル発覚時に“前例”となることが避けられる内容の処分に
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日の親子スリーショット》小室眞子さん出産で圭さんが見せた“パパモード”と、“大容量マザーズバッグ”「夫婦で代わりばんこにベビーカーを押していた」
NEWSポストセブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
《司忍組長の「山口組200年構想」》竹内新若頭による「急速な組織の若返り」と神戸山口組では「自宅差し押さえ」の“踏み絵”【終結宣言の余波】
NEWSポストセブン
第1子を出産した真美子さんと大谷(/時事通信フォト)
《母と2人で異国の子育て》真美子さんを支える「幼少期から大好きだったディズニーソング」…セーラームーン並みにテンションがアガる好きな曲「大谷に“布教”したんじゃ?」
NEWSポストセブン
俳優・北村総一朗さん
《今年90歳の『踊る大捜査線』湾岸署署長》俳優・北村総一朗が語った22歳年下夫人への感謝「人生最大の不幸が戦争体験なら、人生最大の幸せは妻と出会ったこと」
NEWSポストセブン
漫才賞レース『THE SECOND』で躍動(c)フジテレビ
「お、お、おさむちゃんでーす!」漫才ブームから40年超で再爆発「ザ・ぼんち」の凄さ ノンスタ石田「名前を言っただけで笑いを取れる芸人なんて他にどれだけいます?」
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン