約10か月の延期を経て、6月4日より公開となった映画『るろうに剣心 最終章/The Beginning』。シリーズ5作目となる本作は、公開最初の土日2日間で24万7600人を動員し、興行収入は3億6300万円を記録、映画ランキングでは初登場1位を獲得した。4月に公開されたシリーズ4作目も、約2か月経った今もランキング5位を維持しており人気の高さがうかがえる。そんな中、1作目から出演している窪田正孝(32才)に改めて注目が集まっているという。映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。
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2012年、佐藤健(32才)を主演に迎えスタートした本シリーズは、第5作目にして“すべての始まり”を描いた『るろうに剣心 最終章/The Beginning』を持って、いよいよ完結となる。緊急事態宣言などの影響でエンタメ業界全体が落ち込んでいるものの、SNSなどの口コミでは「最終作に相応しい作品」、「ラストシーンに涙が止まらない」、「驚きと感動でしばらく席から立てなかった」といった声が並び、コロナ禍の映画界を大いに盛り上げてくれている。
本作は、国民的人気マンガ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(集英社)を原作とし、映画『3月のライオン 前編/後編』(2017年)や『億男』(2018年)などを手掛けた大友啓史監督(55才)が実写化したもの。主演の佐藤のほか、ヒロイン役には武井咲(27才)が配され、江口洋介(53才)や蒼井優(35才)、青木崇高(41才)ら人気俳優陣がシリーズ第1作目から第4作目まで出演。さらに、作品ごとに綾野剛(39才)や香川照之(55才)、藤原竜也(39才)、新田真剣佑(24才)らが敵対する存在として登場してきた。
あらすじはこうだ。激動の幕末において、“人斬り抜刀斎”として恐れられている男・緋村剣心(佐藤)。“新しい時代”を目指す彼は、倒幕派である長州藩のリーダー・桂小五郎のもとで暗殺者として暗躍していたが、ある日、若い女性・雪代巴に人斬りの現場を見られてしまう。そこで、口封じのために彼女を側に置くことになり、やがて幕府の追手から逃れるために巴とともに農村へと身を隠し、2人きりで生活をすることになる。穏やかな日々の中で剣心は、人を斬ることの正義に迷い、それまで知らなかった“幸せ”を見出していく。
本作は、これまでの『るろうに剣心』シリーズとは毛色が大きく異なる。本作で描かれているのは、主人公・剣心の“すべての始まり”、つまりは過去である。剣心が冷酷な人斬りとして暗躍していた時代の物語であり、過去作に見られたコメディ要素は皆無だ。アクションが売りのシリーズだったが、本作はアクション以上にドラマ性の高い作品となっており、それも、“悲劇”が描かれているのだ。