ライフ

歴史探訪東京さんぽ ゴッホが模写した歌川広重の「大はしあたけの夕立」

歌川広重『名所江戸百景 大はしあたけの夕立』1857年(写真/国立国会図書館)

歌川広重『名所江戸百景 大はしあたけの夕立』1857年(写真/国立国会図書館)

 雨や雪など自然の描写と名所を組み合わせることで、人々の共感を呼ぶ作品を次々に生み出した江戸時代の浮世絵師、歌川広重。彼の作品に描かれた名所を行けば、梅雨の街も粋な絶景になる。代表作のひとつ『名所江戸百景』は、それまで知られていなかった江戸の新たな名所を掘り起こした、初代歌川広重の意欲的な作品。

 1857年(安政4)年の『名所江戸百景 大はしあたけの夕立』は、隅田川にかかる大きな橋「大はし」を空から見下ろすという斬新な構図で、左上の対岸には「あたけ」と呼ばれる軍船などを格納する幕府の軍事施設が描かれており、はっきりとしないよう白くぼかしている。激しい雨に慌てふためく人々と、ゆったりと進む船の様子が対比として描かれた。

「当時、絵画に雨を描くのは世界的にも珍しく、ゴッホが模写したことで広く知られる名作です」(岡田美術館・小林忠館長)

 この浮世絵に描かれた「大はし」とは、現在の「新大橋」のこと。江戸時代は現在よりも下流に位置していた。

※週刊ポスト2021年7月2日号

関連記事

トピックス

モテ男だった火野正平さん(時事通信フォト)
【火野正平さん逝去】4年前「不倫の作法」を尋ねた記者に「それ俺に聞くの!?」 その場にいた娘たちは爆笑した
週刊ポスト
「●」について語った渡邊渚アナ
【大好評エッセイ連載第2回】元フジテレビ渡邊渚アナが明かす「恋も宇宙も一緒だな~と思ったりした出来事」
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さま(時事通信フォト)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
「SUNTORYドリンクスマイルBAR」
《忘年会シーズンにこそ適正飲酒を》サントリーの新たな取り組み 自分に合った “飲み“の楽しさの発見につながる「ドリンク スマイル」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン