ラグビー元日本代表でトップリーグ「ヤマハ発動機」を今季限りで引退した五郎丸歩さん。今後はヤマハ発動機が立ち上げる新会社のマネジメントに携わると発表した。現役時代華々しい活躍をしたトップアスリートであっても、監督やコーチの道へは進まない選択も増え、プロスポーツ選手のセカンドキャリアについて注目されるようになっている。
では、海外から来日して日本のチームに入った外国人選手は引退後、どうしているのだろうか。たとえば、元プロ野球選手で横浜DeNAベイスターズ元監督のアレックス・ラミレスさんのように、日本人女性と結婚し3児の父親となり、監督退任後は“専業主夫”となって日本で家族と暮らす元選手もいる。
ただ、コロナ禍で外国人選手にとっての状況はさらにシビアになっている。メインスポンサーがチームから撤退し、資金難から外国人選手が解雇されるケースも増えた。他チームへの移籍も厳しい上、日本に残って新たな就職先を見つけるのは難しく、世界的にコロナの収束が見えない中、本国に戻っても就ける仕事は少ない。
「私のチームメートもコロナ以降、アメリカへ帰国を余儀なくされました。彼は子どもが生まれたばかりなので、家族を養うために近所の人にフィットネスのレッスンをしたりして、食いつなぎながら、日本のチームに再び戻れるチャンスをうかがっています。でも一方、中にはそのままアスリート人生をあきらめてしまう仲間もいて、とても残念」
こう話すのは、Xリーグ(日本の社会人アメリカンフットボールリーグ)「イコールワン福岡SUNS」の現役選手ドニー・キングさん。アメフトの強豪・ハワイ大学を卒業後スカウトされ来日し、Xリーグで活躍してきた人気選手だ。そんな彼も先を見据えた挑戦をしたい、と言う。
「いつか引退した時、履歴書に書くのは【フットボール選手】だけではなく、ビジネスマンとしても成功したい。今から、デュアルキャリアとして複数のキャリアを走らせていこうと考えています」(ドニーさん)
Xリーグの場合、1チームに外国人選手が所属できる枠は4名。それぞれの外国人選手に支払われるのは月に約50万円。昨今の情勢では上位8チーム(X1 SUPER)でさえ、そこまでの資金力を持つことは難しく、優秀な外国人選手がいてもチームへ獲得することに二の足を踏んだり、手放さなくてはならないという。
しかし、選手としての収入は月10万円でもいいから週末だけプレイ。そして平日は社会人として別の仕事をもつ。そんな働き方ができれば、選手にとっても選択の幅は広がる。