〈削除は当然〉〈好きだったのに残念だ〉中国のインターネット上で物議を醸している日本の人気女性声優がいる。茅野愛衣(33)。大ヒットアニメ『鬼滅の刃』をはじめ、これまで500タイトル以上のアニメ、映画、ゲームに出演している人気声優だ。何があったのか。
「中国企業が日本で配信しているゲームが中国国内でも人気で、茅野は美少女モノを中心に10作品以上に出演しています。その中国配信版から茅野の声が6月中旬から相次いで削除され、4社5作品にのぼっている」(ゲーム雑誌編集者)
中国最大のSNS『ウェイボー』には茅野のファンクラブもあり、中国人ファンは多い。中国のゲーム事情に詳しい峰岸宏行氏は「茅野さんの発言が背景にあるのではないか」と推測する。
「今年2月にYouTubeで配信した音声番組で、茅野さんはCDのヒット祈願で靖国神社に参拝したと話した。これを日本語の理解できる中国のネットインフルエンサーが拾い、中国人の神経を逆なでするような行為として注目されてしまった」
茅野の番組のツイッターには、中国人ユーザーから〈侵略戦争の犠牲者に謝罪してください〉〈なぜ靖国神社に行った?〉といった声が殺到し、動画の公開から6日後に番組側が〈私どもの認識不足によりファンの皆様にご迷惑をお掛けしたことをお詫びいたします〉と投稿し、動画を非公開にしていた。
「今回の削除はこの騒動を受け、中国企業と茅野さんの所属事務所が話し合った結果でしょう(事務所は「こちらからお答えすることはございません」と回答)」(前出・峰岸氏)
現在も茅野にはネット上で中国語での誹謗中傷が相次ぐ。中国に詳しいジャーナリストの西谷格氏が言う。
「中国のネット上では、靖国神社や尖閣諸島などの発言は問題視され、日本の芸能人のYouTubeやSNSも細かくチェックされている。今後もこのような被害は増えていくのではないか」
チャイナリスクは「個人の声」にまで及んでいる。
※週刊ポスト2021年7月9日号