リゾート地としても知られる千葉県・勝浦市には、古くから漁師町として栄えた土地らしく、賑やかな朝市がいまも続いている。天正19(1591)年に始まった勝浦朝市は、今年で430年を迎えた。当時の勝浦城主・植村土佐守泰忠が漁業や農業など産業の振興を図るために開設したのが始まりとされる。3代、4代と代々受け継がれている露店が多く、週末の多い時で約60店が並ぶ。
朝市名物のおばあちゃんや日々の食材を買いに来る地元住民、県内外からの観光客との交流の場としても賑わいをみせてきた。店には様々な作物を栽培し、収穫した日に店先に置くので季節ごとに旬の作物が登場する。
カツオやキメジマグロなど勝浦漁港で水揚げされた鮮魚が1本売りされ、試食用の干物を焼く香りが財布の紐を緩ませる。勝浦は南房総に位置する漁港町だが、山の幸にも恵まれており、自家栽培の旬の野菜や果物、農作物加工品などがお買い得の価格で揃う。旬の鮮魚を1本買いできるのは漁港町ならではの醍醐味。購入すると発泡スチロールの箱に氷とともに入れてくれる。県内外から車で買いにくる人もいる。そして開店前から地元の人々が行列を作って到着を待っている人気のトマトは、トラックの荷台に置かれたまま瞬く間に売り切れた。
朝市は毎月1日~15日は下本町朝市通り、毎月16日~月末は仲本町朝市通りと場所を交代して開かれる(午前6時頃~11時頃。定休日は水曜と元日)。
撮影/太田真三 取材・文/上田千春
※週刊ポスト2021年7月9日号