スポーツ

大島康徳さんが明かしていた「余命宣告で揺れた胸中」「妻子への思い」

大島康徳さんは「余命宣告」を受けてから家族との接し方がどう変化したのか(2013年。時事通信フォト)

大島康徳さんは「余命宣告」を受けてから家族との接し方がどう変化したのか(2013年。時事通信フォト)

 プロ野球の現役時代は中日、日本ハムで主軸として活躍し、通算2204安打を放ち、引退後は日本ハムの監督などを務めた大島康徳さんが6月30日、大腸がんのため亡くなった。70歳だった。2016年10月にステージIVの大腸がんが見つかり、翌年2月には自身のブログでそのことを公表。当時から「余命1年」を宣告されていたが、がんと向き合う自身の暮らしぶりを公にし、また解説者の仕事も精力的にこなしながら、闘病生活を続けていた。

 2018年8月の本誌・週刊ポストのインタビューでは1時間以上にわたって余命を宣告された時の心境などについて胸の内を明かしていた。「ボクは(余命宣告の)その場ではほとんど取り乱さなかった」としながらも、大島さんは揺れる胸中を次のように語っていた。

「突然だったので、“たった1年で何をすればいいのかわからない”という思いもありました。取り乱すようなことはかったけど、内心では動揺はしていたんだと思います。隣には家内がいたが、何を話したのかも覚えていない。もしかしたら、ボクよりも家内のほうがショックだったのかもしれない。家内は“手術しないとね”と言っていました。その日は子供たちも会社を早退して帰ってきてくれた。次男坊は電車の中で号泣したと聞きました。子供たちが目をはらしているのを見て、家族のショックを和らげるためにも、手術は受けないといけないと決心しました。ボクが独り身だったら手術はしていなかったと思います。家族の力は凄い」

 取材の時点で、「余命1年」と告げられてから、1年以上の時間が過ぎていた。「1年」が経過した時の心境について尋ねると、大島さんからはこんな答えが返ってきた。

「ボクの中では1年が過ぎたというのは、まったく頭の中にはなかった。いい性格してますよね(苦笑)。ただ、家内は“今日で1年だよ”といっていましたね。ボクは“そうか”としか言いませんでしたが」

 控えめなリアクションになったのは、病を患う身でありながらも、家族を気遣う気持ちがあったからだという。

「がんという病気になると、周囲、とくに家族に心配や迷惑をかけたくないという思いが強くなる。だから、多少の体調変化があっても口にしないし、反応も控えるものです。周囲はちょっと咳をしただけで“大丈夫?”と心配してしまう。朝起きてちょっとボーッとしているだけなのに、“疲れているの?”と聞いてくる。

 がん患者本人より、家族のほうが様子を細かく見ているので、ストレスが溜まっていく。お互いのストレスがぶつかってケンカになることもある。だからできるだけ、気持ちは表に出したくない。でも、出さないと家族が“我慢しないで”と言う。このバランスが難しい。がん患者が出ると、その影響は家族全体に及ぶ。これが一番大変なことじゃないでしょうか」

関連キーワード

関連記事

トピックス

2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン
新政治団体「12平和党」設立。2月12日、記者会見するデヴィ夫人ら(時事通信フォト)
《デヴィ夫人が禁止を訴える犬食》保護団体代表がかつて遭遇した驚くべき体験 譲渡会に現れ犬を2頭欲しいと言った男に激怒「幸せになるんだよと送り出したのに冗談じゃない」
NEWSポストセブン
警視庁が押収した車両=9日、東京都江東区(時事通信フォト)
《”アルヴェル”が人気》盗難車のナンバープレート付け替えで整備会社の社長逮捕 違法な「ニコイチ」高級改造車を買い求める人たちの事情
NEWSポストセブン
地元の知人にもたびたび“金銭面の余裕ぶり”をみせていたという中居正広(52)
「もう人目につく仕事は無理じゃないか」中居正広氏の実兄が明かした「性暴力認定」後の生き方「これもある意味、タイミングだったんじゃないかな」
NEWSポストセブン
『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
《英国史上最悪のレイプ犯の衝撃》中国人留学生容疑者の素顔と卑劣な犯行手口「アプリで自室に呼び危険な薬を酒に混ぜ…」「“性犯罪 の記念品”を所持」 
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン