芸能

『青天を衝け』こう来たか!と唸らせるキャスティングの妙

「青天を衝け」

(c)NHK「青天を衝け」。主演の吉沢亮(中央)と志尊淳(左)。

 ここ8年間で最高の視聴率で始まり、安定した高視聴率をキープする大河ドラマ『青天を衝け』(NHK、毎週日曜20時~ほか)。大河ドラマ初出演の吉沢亮が演じる渋沢栄一は、幕末から明治へと時代を切り拓いていく新しい風を感じさせる。

 連続テレビ小説(NHK)のように、NHKドラマでおなじみの俳優が登場する一方で、新鮮で大胆なキャスティングがされているのが、さすが大河ドラマの余裕と気概。

 ちなみに、連続テレビ小説を遡れば、草なぎ剛演じる徳川慶喜の母を演じる原日出子は『本日も晴天なり』(1981年)のヒロイン、栄一の伯母役の手塚理美は『ハイカラさん』(1982年)のヒロイン、栄一の姉役の村川絵梨は『風のハルカ』(2005年)のヒロイン、栄一の妻役の橋本愛は『あまちゃん』(2013年)に出演し、栄一の妹役の藤野涼子は『ひよっこ』(2017年)に出演し、注目を集めた。

 それに対して、かつてない徳川慶喜、と絶賛されるのが草なぎ剛。『新選組!』(2004年)に出演経験はあるが、大河ドラマレギュラー出演は初。2017年に事務所を独立して3年ぶりのドラマ出演ということでも話題を呼んだ。

(c)NHK『青天を衝け』。第15代将軍徳川慶喜を演じる草なぎ剛。ちょんまげに洋装の軍服という時代の転換期を象徴する装い。この表情だけでも背負ったものの大きさを語っているようだ。

(c)NHK『青天を衝け』。第15代将軍徳川慶喜を演じる草なぎ剛。ちょんまげに洋装の軍服という時代の転換期を象徴する装い。この表情だけでも背負ったものの大きさを語っているようだ。

 草なぎはつかみどころがないようで器の大きさを感じさせる徳川幕府最後の将軍の複雑な内面をも体現している。昨年「第44回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞」に輝き、また6月からイタリアで開催された「ウディネ・ファーイースト映画祭」でゴールデン・マルベリー賞を受賞した映画『ミッドナイトスワン』(8月にWOWWOWでテレビ初放送決定)では、男性という性に違和感を持ち女性として生きる主人公を見事に演じた。

 また、第47回放送文化基金賞 テレビドラマ番組部門の最優秀賞受賞『宮城発地域ドラマ ペペロンチーノ』(2021年、NHK仙台放送局制作)では、津波の被害から再起するレストランのオーナーシェフを主演し演技賞を受賞するなど、その演技者としての振り幅は驚異的だ。

 さらに、第21回(7月4日放送)より、栄一らパリ万博に参加するため派遣された幕府の使節団が登場。そこにも、なるほどこれは見たい!と思わせる俳優たちがいた。

 まず、徳川慶喜の異母弟・徳川昭武役の板垣李光人。ジェンダーを超えた美しさで注目を浴び、ハイセンスなファッションを着こなしメイクも映える独自のスタイルをもつ彼。風の時代の先端を行くかに思えるが、それが時代さえも超え、最後の水戸藩主というノーブルで繊細な役が思いのほか、ぴたりとはまることに、こう来たか!と驚きもある。

(c)NHK『青天を衝け』。メイク男子としても注目を浴びる板垣李光人演じる“プリンス・トクガワ”。

(c)NHK『青天を衝け』。メイク男子としても注目を浴びる板垣李光人演じる“プリンス・トクガワ”。

関連キーワード

関連記事

トピックス

不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《私が撮られてしまい…》永野芽郁がドラマ『キャスター』打ち上げで“自虐スピーチ”、自ら会場を和ませる一幕も【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
(SNSより)
「誰かが私を殺そうとしているかも…」SNS配信中に女性インフルエンサー撃たれる、性別を理由に殺害する“フェミサイド事件”か【メキシコ・ライバー殺害事件】
NEWSポストセブン
電撃引退を発表した西内まりや(時事通信)
電撃引退の西内まりや、直前の「地上波復帰CMオファー」も断っていた…「身内のトラブル」で身を引いた「強烈な覚悟」
NEWSポストセブン
女性2人組によるYouTubeチャンネル「びっちちゃん。」
《2人組YouTuber「びっちちゃん。」インタビュー》経験人数800人超え&100人超えでも“病まない”ワケ「依存心がないのって、たぶん自分のことが好きだから」
NEWSポストセブン
悠仁さまの大学進学で複雑な心境の紀子さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、大学進学で変化する“親子の距離” 秋篠宮ご夫妻は筑波大学入学式を欠席、「9月の成年式を節目に子離れしなくては…」紀子さまは複雑な心境か
女性セブン
品川区にある碑文谷一家本部。ドアの側に掲示スペースがある
有名ヤクザ組織が再び“義憤文”「ストーカーを撲滅する覚悟」張り出した理由を直撃すると… 半年前には「闇バイト強盗に断固たる処置」で話題に
NEWSポストセブン
現在は5人がそれぞれの道を歩んでいる(撮影/小澤正朗)
《再集結で再注目》CHA-CHAが男性アイドル史に残した“もうひとつの伝説”「お笑いができるアイドル」の先駆者だった
NEWSポストセブン
『THE SECOND』総合演出の日置祐貴氏(撮影/山口京和)
【漫才賞レースTHE SECOND】第3回大会はフジテレビ問題の逆境で「開催中止の可能性もゼロではないと思っていた」 番組の総合演出が語る苦悩と番組への思い
NEWSポストセブン
永野芽郁の不倫騒動の行方は…
《『キャスター』打ち上げ、永野芽郁が参加》写真と動画撮影NGの厳戒態勢 田中圭との不倫騒動のなかで“決め込んだ覚悟”見せる
NEWSポストセブン
電撃の芸能界引退を発表した西内まりや(時事通信)
《西内まりやが電撃引退》身内にトラブルが発覚…モデルを務める姉のSNSに“不穏な異変”「一緒に映っている写真が…」
NEWSポストセブン
入院された上皇さまの付き添いをする美智子さま(2024年3月、長野県軽井沢町。撮影/JMPA)
美智子さま、入院された上皇さまのために連日300分近い長時間の付き添い 並大抵ではない“支える”という一念、雅子さまへと受け継がれる“一途な愛”
女性セブン
交際が伝えられていた元乃木坂46・白石麻衣(32)とtimelesz・菊池風磨(30)
《“結婚は5年封印”受け入れる献身》白石麻衣、菊池風磨の自宅マンションに「黒ずくめ変装」の通い愛、「子供好き」な本人が胸に秘めた思い
NEWSポストセブン