米司法省は米紙「ニューヨーク・タイムズ」など主要紙が今年初めまでの半年間で、中国共産党中央宣伝部傘下の英字紙「チャイナ・デイリー(CD)」が発行する新聞そっくりの宣伝媒体「China Watch(チャイナ・ウォッチ)」を折り込み広告として配布し、約160万ドル(約1億7600万円)の広告費を受け取っていたことを明らかにした。また、CDは米主要地方紙である「シカゴ・トリビューン」や「ヒューストン・クロニクル」などに自社出版物の印刷費用として計100万ドル(約1億1000万円)を支払っていた。ニューヨーク・タイムズなどが報じた。
CDは1981年、北京で設立され、2009年9月にニューヨークに進出。現時点で、ワシントンやシカゴ、サンフランシスコ、ヒューストンといった米国の大都市に支局を展開している。
CDは当初、フリーペーパーとして「チャイナ・ウォッチ」を街頭で配布していたが、その後、やワシントン・ポストに折り込み広告として配布。その目的は、中国にとって都合のいい情報ばかりを現地で発信することで、米国の世論づくりに影響を与えようというものだ。
米政府の発表によると、CDの今年初めまでの半年間の広告費は前年同期比36%増の450万ドル(約4億9500万円)に達している。このなかには、タイム誌やロサンゼルス・タイムズ紙、フィナンシャル・ タイムズ紙、フォーリン・ポリシー誌などへの広告費160万ドル(約1億7600万円)も含まれている。
米政府はこのようなCDの活動は「報道機関としてではなく、外国の宣伝機関としてのもの」などとして、CDの米国での活動が中国の政策を正当化するための大規模な世論工作とみなしている。
米政府は昨年2月、CDについて、報道機関ではなく、中国共産党の厳しい統制下にある「外国の宣伝機関」と認定した。この認定で、CDなどは外交使節と同様に扱われ、国務省への従業員動向や保有不動産に関する報告が義務付けられる。