新型コロナウイルスのワクチン接種が進むなか、接種者に向けて割引などのサービスを実施する飲食店やホテルが増えている。
タクシーでさっそうと接種会場に乗りつけて、ホテルで優雅に休んだ後は、レストランや居酒屋で久しぶりに一杯やる──そんな「特典尽くし」の未来は輝かんばかりだ。しかし、節約アドバイザーの丸山晴美さんは、特典だけに目を奪われているとかえって損をしてしまう可能性もあると指摘する。
「節約アドバイザーとして家計の相談に乗っていて、最近強く感じるのが“この先どうなるかわからないのに、しんどい節約生活をして意味があるのか”“自粛がつらくて反動で散財しそうになる”というストレスです。こうしたストレスや衝動に加え、ワクチンを打った後は安心感と解放感、特典によるお得感から散財癖がついてしまわないかが気がかりです。
最初に自分がやりたいことは何なのか、行きたい場所はどこなのか。“目的”をしっかり把握すること。そのうえで目的に当てはまるクーポンがないかを探すのがコツです。例えば高級ホテルのレストランが割引になるといっても、元が安くはないのですから、“なんとなく”で行くと、後々悔やむことになりかねない」(丸山さん)
ワクチン特典がほかのプランやクーポンと比べて“最安”であるかどうかの確認も必須だ。ホテル評論家で旅行作家の瀧澤信秋さんが言う。
「ワクチン特典は、ホテルの正規料金からの割引というケースも見られます。旅行代理店のウェブ予約や宿泊サイトにはさまざまな割引プランが載っていて、なかにはワクチン特典よりも安い宿泊プランがあることも。見極めが必要です」
これは飲食店でも同様だ。
「特典を使う前に一度ネット検索することを推奨します。行きたいお店やホテルの名前に加え、クーポンと入れたときの結果と、ワクチン特典と入れたときの結果を比較して、より安い方を選べば間違いない。まれに併用できるクーポンもあるため、可能かどうかもしっかり確認してください」(丸山さん)